「Love Letter」(1995年)、「スワロウテイル」(1996年)、「花とアリス」(2004年)などで知られる岩井俊二監督のもと、松たか子と広瀬すずが共演。その映画「ラストレター」は、岩井監督の出身地である宮城県を舞台に、手紙の行き違いから始まる2つの時代の男女の恋愛を描いた、青春へのラブレターだ。この作品で、姉の未咲を亡くした主婦・裕里を演じた松と、高校生時代の未咲と、裕里の姪・鮎美の2役を演じた広瀬に、岩井監督の印象や撮影の舞台裏、見どころについて聞いた。
――松さんは「四月物語」(98年)で岩井監督とお仕事されていますが、久しぶりの岩井監督作品はいかがでしたか?
松:最初にお話をいただいたときはすごくうれしいのと同時に、「私でいいんですか?」という気持ちでした。ただ、「四月物語」のときもそうだったんですが、今回も恋に報われないというか、初恋の相手を引きずっている役だったので、もしかしたら岩井さんの中の私のイメージがそうなのかも。でも、さすがに怖くて聞けませんでした(笑)。
――広瀬さんは岩井監督の出世作をアニメ化した映画「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」(17年)で声優を務められましたが、岩井さんが監督を務められる現場としては今回が初めてですね。
広瀬:岩井さんの現場は、みんなが岩井さん色に染められていく感じがしました。以前、松さんもおっしゃっていたのですが、急に本番が始まるから、その場の空気がそのまま切り取られていて、不思議な緊張感がありました。
――岩井監督の現場ではセリフが終わってもなかなかカットがかからないと聞きました。それが独特の余韻を生んでいるのではないかと思いましたが、お二人はどう思われますか?
松:確かにそうですね。あと、広い自然の中で撮っているので、どんなにカメラが動いても画に端がないというか。ロケならではの自由さが作品の余韻につながっている気がします。
広瀬:私は、岩井さんの作品には、見終わってから埋めたくなるような余白を感じます。自分が演じていたからかもしれませんが、「わぁ」と思った後に戻ってくる何かがあって。それを抑えるのがもったいないと感じたのは今回が初めてだったので、それが岩井さんの映画ならではの余韻なのかなと思いました。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)