世界は一変した。発見された巨大隕石が1年後には地球を粉々に吹き飛ばし全生命が滅亡するというのだ。とてつもない速さで宇宙を飛ぶ巨大隕石は、軌道にある星々に衝突しては、破壊させていく。宇宙のデストロイヤーである。世界は大パニックのいわゆる世紀末。しかし隕石発見から半年後、持ち前の国民性で唯一ギリギリの秩序を保っている国があった。
一見どこにでもある家族・門倉家。朝の食卓。主人公・主婦の久美子(羽田美智子)が 忙しく支度している。長女で中学校教師の美咲(泉里香)と大手電機メーカー勤務・父の和彦(天野ひろゆき)が食べながら、「通勤ラッシュが懐かしい」やら「この期に及んで痴漢えん罪で捕まったりしたら目も当てられないな」など話していると、この4月から浪人中の次女・結月(北香那)が起きてくる。もし助かれば来年の競争率は低いはずだから東大を狙うんだとひとり生き残りの大穴にかけている。
「久美子さん、スムージーにリンゴが入っていませんよ」と、着物姿の姑・正子(松原智恵子)も起きてくる。「すみません。日本のは高くって。もうこうなったら外国産は入ってきません」と久美子も席に。テレビからは今日の隕石情報が流れる。一斉に画面に注目。「地球に接近しております巨大隕石は残念ながら軌道に変化はなく、地球到達まで残り186日です」溜息がもれる。
「もうあと半年か…」「これで地球も終わりなのね…」門倉家は何も変わらない、ように見える。半年後には皆一緒に死ぬんだから、まあ仕方ない、せめて最後は家族一緒に迎えようと。一部の世紀末暴徒を除いて、日本全体が“半年暴れてみたがもうどうしようもない”と諦めの空気の中、習慣で普段と同じに暮らそうとしている。が、そんな中、「こんな時に、悪いんだけど」久美子が改まった顔で話を切り出した。「一年前、隕石が落ちてくるってわかったわよね。でも、そんな状況になっても、あたし、家族の世話をしてきました。それが、妻であり、母であり、嫁である主婦の務めだって。でも…最後に自分らしく生きたいと思って…」「ん?」お母さんは急に何を言いだすのかと。
「あたしね、好きな人がいます。その人と一緒に暮らしたいの」「す、好きな人?」「あたしが地球最後の日に一緒にいたいのは…家族じゃなかったの」唖然とする家族。もう誰も止められない。引き留める家族を振り払い、「ごめんね」と、飛び出すように出て行く母・久美子。あとには愕然とした家族が残った。
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