映画「よこがお」 深田晃司監督、筒井真理子の存在感に圧倒「カメラの前では記憶がなくなるくらい…」

2020/01/22 17:00 配信

映画 インタビュー

「よこがお」こだわりのシーンについて語る深田晃司監督


深田晃司「混乱しながら、世界観に引き込まれながら見てほしい」


――「よこがお」で特にこだわったシーンはどこですか?

筒井さんが出ているシーンは全部と言いたいのですが、それだと本当に全てのシーンになってしまうので…(笑)。

おそらく日によって、気持ちは変わってしまうのですが、市子(筒井)の職場のシーンが印象に残っています。このシーンでは、筒井さんの他にオーディションで選ばれた同僚役の俳優が6人いました。

当然、「10年来同じ職場で働いた同僚」という設定をほぼ初対面の俳優たちが演じないといけません。筒井さんをはじめ全員でのリハーサルは行いましたが、まったく時間が足りていませんでした。

しかし、赤間麻里子さん、中村真生さんら俳優の皆さんが声をかけあい集まって設定を作りこんでくださっていました。そのおかげで、とてもリアルな職場の雰囲気が出すことができ、海外での評価にもつながったので、良かったなと思っています。

――「よこがお」の中で、深田監督が新たに挑戦したことはありますか?

過去と現在の時系列を入れ替えるということは苦労しました。映画冒頭の15分くらいは混乱させることを目的に作っているので、混乱しながら、世界観に引き込まれながら見てほしいと思っています。脚本から編集からあらゆるパターンを試しました。

――数々の映画祭に出品された「よこがお」ですが、海外の方の反応はいかがでしたでしょうか。

さまざまな反応があって面白かったのですが、日本と変わらないのは、やはり筒井さんの演技が素晴らしいということでした。

違ったところでいうと、日本にとっては日常を描いているつもりでも、海外の方にとっては文化などの違いから非日常が描かれているので、そこでの混乱やとまどいなどの反応はありました。

また、過去と現在と時間軸の違う映像が入れ替わっていくというところが、そもそもが非日常の中で進んでいく分、海外の方のほうが理解に時間がかかるようですね。

ただ、面白かったのは、ニューヨーク映画祭のプログラマーの女性の方が「よこがお」をすごく気に入ってくださって、「上映後の観客の反響も大きく、語りたくなるような映画として受け止められとようで嬉しいです。ただ、映画に散りばめられたいろいろなサインを見逃している人もいるみたいで、それで評価が変わるのは私も悔しいので、映画を上映する前に『サインを見逃さないようにしてくださいね』とアナウンスしました」と言ってくださいました(笑)。特に男性の方は見逃していた方が多かったみたいですよ。

でも、そこは比較的に日本と同じなのかなと思いました。女性より男性の方がサインなどを見逃しやすいということは。

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