第18回読売演劇対象優秀演出家賞をことしも受賞した劇作家・演出家の前川知大が主宰する劇団イキウメの舞台が好評上演中。「散歩する侵略者」は'05年の初演時から評判も高かった作品だが、今回の上演では演出および台本が大幅に改訂された。
物語の舞台は、日本海に面した小さな港町。ある日突然、いままでの記憶をすっかり失くして、町を”散歩”し始める夫とその介護を強いられる妻。息子一家を刺殺直後に老婆が自殺する凄まじい事件。海岸線で目撃される奇妙な光。ミステリアスな雰囲気が町に広まる中、記憶を失くした夫は妻にある告白をする。
緊張感あるストーリー展開に加え、よりスタイリッシュになった舞台空間とその見せ方は前川の見事な手腕によるもの。さらに、浜田信也、窪田道聡ら演技派ぞろいの劇団員に、イキウメ、特にこの作品にはなじみのある安井順平らが前川ワールドを盛り上げていく。役者たちにもこの作品の真髄が染みこんでいるようで、完成度も非常に高い。が、それは再演だからというだけではなく、改訂にあたり前川と役者たちが時間をかけて作り上げてきたからであろう。東京公演は5月29日(日)まで。
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