宮沢氷魚「藤原季節くんと、一緒に住んでみたらイヤな気持ちは全くなかった」<映画『his』インタビュー>

2020/01/24 15:00 配信

映画


映画「his」は、2人の青年の恋愛が終わるシーンから物語が始まる。そして、ゲイであることを隠し田舎で暮らす青年の元に、突然元恋人が子供を連れて現れ物語は動き始める。恋愛の行く末だけではなく、同性の2人が子供を持ち、家族として世間とどう向き合い、生きていくのか。すべてがリアルで、深く心に訴えかけるそんな意欲作だ。

【写真を見る】見つめ合う宮沢氷魚と藤原季節「お互い空気感が合致した」(C)2020 映画「his」製作委員会


メガホンを取ったのは、「愛がなんだ」や「アイネクライネナハトムジーク」など、今日本で恋愛映画の旗手として知られる今泉力哉。繊細な心の描写や、美しい自然風景も織り交ぜながら、丁寧に心の機微を描いている。

宮沢と藤原は、撮影期間中、一つ屋根の下に住んで過ごしたという。宮沢は「最初は正直イヤだなと思いました(笑)。でも実際、一緒に住んでみたら全然イヤな気持ちもまったくなく。逆にいてくれて助かったところもたくさんあったし、とてもいい経験になりました」と語る。

一方、藤原は「僕も、最初“もしイケイケの人だったらどうしよう”って警戒していたんです(笑)。でも、初めて会ったとき握手をしたら、“この人なら、大丈夫”って思いました。とても不思議な体験だったんですよね。すべてを受け入れてくれる人だなって感じて」と話すと、「僕も同じでしたね。初めて会った日の帰り、マネージャーさんと駅に向かいながら“季節くんなら、大丈夫です”って言いました」と宮沢。

終始和やかな雰囲気だった宮沢&藤原(C)2020 映画「his」製作委員会


「お互い空気感が合致した」と宮沢が語るように、取材中も終始2人和やかにお互いを思いやりあっているのが伝わってきた。

今作はLGBTQというテーマを扱っている。そのことも踏まえ、宮沢は「映画が公開されたからといって、LGBTQの問題が全部解決されるわけじゃないし、“問題”とは言いたくないですけど…。でも理解の乏しさを変えていきたいので、映画を観た人が1人でも多くLGBTQについて調べてみようかなと思ったり、何か心に残るものがあるなと感じていただけたら、演じた僕たち、関わったスタッフも報われるなと思っています」と作品にのせた思いを語ってくれた。

映画『his』は全国公開中(C)2020 映画「his」製作委員会


また、藤原は「この作品は、2人の青年が当たり前の人間として生きていこうとする話だと思うんです。2人は自分をマイノリティ側の人間だと思っていたからこそ人を傷つけてしまっていたけど、当たり前に生きていこうとするためには、まず自分で自分のことを当たり前の人間なんだって認めてあげなきゃいけない。

この人たちは、それをこの映画の中で頑張ってやっている。だから、今、生きていくのが少しつらいと思ってる人に観てもらいたいです。2人が頑張って生きていこうとする姿に、何か感じてもらえる瞬間がきっとあるんじゃないかと思っています」と真剣な眼差しで話してくれた。

映画『his』は全国公開中(C)2020 映画「his」製作委員会

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