巨漢のチェイニーに成り切るため、ベールは体重を18kg以上増量し、頭髪が寂しい実物に似せるため、髪を剃り眉毛は脱色。さらに、肌の色やしわを再現するため、メイクには毎回5時間もかけたという。その過酷な役作りには驚くばかりだが、奏功して、第91回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされた。
ちなみにベールは、「劇的な体重増減による役作りはそろそろ限界、もうやらない」などと発言しているが、今年、第92回アカデミー賞作品賞にノミネートされている『フォードvsフェラーリ(2019)』では、1960年代に活躍したレーサーを演じるためにまた大幅に減量。
こうなると、ベールの劇的な体重増減による役作りは、やらずにはいられない俳優の性(さが)なのかもしれない。
役作りが半端ではない俳優といえば、ダニエル・デイ=ルイスも忘れられない。彼が初めてアカデミー賞主演男優賞を受賞した、実話が基の『マイ・レフトフット(1989)』(2月3日[月]午後1:00 WOWOWシネマほか)では脳性小児麻痺の画家に扮するため、撮影中、普段の生活でも左足だけを使い、車椅子に座ったまま過ごしていたという。
『リンカーン(2012)』(2月3日[月]よる11:00 WOWOWシネマほか)では1年間かけて役作り。妻役のサリー・フィールドと南北戦争末期当時の書体で4カ月間文通、そして外見を似せるために髪も髭も伸ばして準備し、合衆国大統領で高潔たる偉人エイブラハム・リンカーンを演じて、3つ目のオスカー像を手にした(2度目の受賞は2007年製作の『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』)。
そんなデイ=ルイスの俳優引退作となった『ファントム・スレッド(2017)』と競って『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男(2017)』(2月2日[日]よる9:00 WOWOWシネマほか)で第90回アカデミー賞主演男優賞を受賞したのが、ゲイリー・オールドマンだった。
オールドマンも徹底した役作りから、カメレオン俳優といわれてきた。とはいえ、英国首相ウィンストン・チャーチルを演じるには顔形が全く似ても似つかない。そんなオールドマンにオスカーをもたらしたのが辻一弘(現、改名してカズ・ヒロ)。
多くのハリウッド映画に関わり、特殊メイクの第一人者として活躍しながら映画界を引退していた彼に、「あなたが引き受けないなら、僕も映画に出ない」とオールドマンが口説き落とした。
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