さらに佐藤は、「客席を見渡しただけでも、こみ上げるものがある方がたくさんいらっしゃる。本当にここからスタートして、日本全国をまわりながらもう一度考え直し、未来につなげるということをここからスタートさせていただきます。応援してやってください」と深々と頭を下げた。
そして渡辺は、「正直申し上げますと、ちょっとドキドキしています。あの震災と事故を経験した多くの方々がいらっしゃるこの地で、こうして試写会をするということで、果たしてどう受け止めていただけるかと不安もありました。でもこの作品の中には、良い人間ドラマがあると思っています。私達は一生懸命に撮ってきたつもりですので、深い映画だなと思っていただけるのではと思っています」と改めて作品について語った。
また、若松監督は佐藤、渡辺について「この2人がいなかったら、この作品は作り上げることはできなかったです。現場のスタッフは、この2人の背中をずっと見ながら撮影に臨んでいました。とてつもなく熱い芝居を繰り広げています」と2人の存在感を観客へアピール。
そして、復興について質問された佐藤は「去年撮影をして、本当に復興は始まっているのかと思いました。この地の現状を、他の方々はどれぐらい知っているのか。それをもう一度皆さんに感じてもらいたい。皆さんがこの作品を見てどう思われるかは分かりませんが、復興を始めるためには人間の力が必要で、それを進めていかなければならないことを各都道府県の方に伝えていきたいと思います」と訴えた。
一方、渡辺は「復興というのは、それぞれ違う状況やバックグラウンドがあるので、一つの答えはないと思います。ただ、海も山も里もおいしい食べ物がたくさんあるすてきな県が、もっと誇りを持って若い方たちが『福島出身なんだ!』と自信を持って言えるよう、戻ってほしいなと思います」と切実に願った。
最後に佐藤が、「負の遺産を少しだけかたちを変えた遺産に変えましょう」と力強く語りかけると、渡辺は「僕の中で、今まで福島を支えていくということができていなかったと思います。ただ、いちばん自分ができる最大の仕事で、福島の皆さまにお届けすることができたなと思っています。どうか受け取ってください」と締めくくった。
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