心がけたのは、最後まで振り落とされないように舵を握り続けること。プロデューサーと目指したのはエンターテインメントとして、ある社会問題と向き合うこと。
ともすれば深く入り込みすぎて、自分の立っている場所が分からなくなるような作品です。誰もが人生のどこかで必ず向き合わなくてはならないテーマを、綾野さん北川さんとともに悩み尽くした作品となりました。
2人はいいコンビです。綾野さんは北川さんのことを、北川さんは綾野さんのことを僕に教えてくれました。2人は、まったく違う考え方を持った役者ですが、2人とも強烈な役者バカだと思います。
もちろんそういう僕も映画バカですが……。子役オーディションに参加して子役のため熱演していた綾野さんと、アクションで綾野さんに本気の蹴りを見舞う北川さんの熱を感じに、劇場に来てください。
中山七里先生の原作を読んだ当初から、「今、映像化すべき作品だ!」と思いつつも、「この題材を扱いながら、映画としてエンターテインメントにするには?」というところで頭を抱えていました。
その懸念を吹き飛ばしてくれたのが綾野さんと北川さんのバディでした。綾野さん演じる犬養という男は、法を守る立場からドクター・デスを追うものの、安楽死に翻弄されていくという非常に複雑な役です。
綾野さんは、そんな犬養に真っ向から向き合い「綾野剛なのか犬養隼人なのか」分からなくなるほど狂気の芝居を見せてくれました。
北川さん演じる高千穂は、そんな犬養を冷静に理解し、叱咤し、支えていく役ですが、圧倒的な華やかさと、見る人を瞬時に引き込む芝居で、綾野さんの犬養隼人を受け止めてくれました。
この2人のバディのおかげで、難解な題材に負けない、最高のクライム・サスペンスが出来上がったと予感しています。ぜひ劇場で御覧ください。
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