アカデミー賞作品賞の感動作も!2月初放送作品を映画アドバイザーミヤザキタケルが厳選<ザテレビジョンシネマ部>

2020/02/01 07:00 配信

映画

『グリーンブック』 (c) 2019 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. ALL RIGHTS RESERVED.


あなたの家族・恋人・友人たちとの関係性に当てはめてみれば分かるはず。

長く一緒にいる人は、あなたの両面を知っているし、あなたもまた相手の両面を知っている。そして、悪い部分を凌駕するだけの良い部分を知っているからこそ多くを許せる。

育ちも性格も何もかもが真逆のトニーとドンだが、ツアー中に相手の良い部分にも悪い部分にも触れ、互いの強さや弱さを知っていく。

その果てに友情だって芽生える。だが、ドンに降りかかる差別というものは、拒絶と暴力の権化であり、相手を理解するつもりなど毛頭ない。

悲しいけれど、どれだけ歩み寄ろうと差別の前では相互理解などかなわない。

負の感情にとらわれて生きていれば、嫌なことばかり目に付くようになる。他者の気遣いや優しさを無下にしてしまうことも多くなる。でも、世の中そう悪いことばかりじゃない。

他者と分かり合うことは難しいけれど、ふとした瞬間にその理から抜け出せる瞬間もある。そんな一瞬を見落とさないため、踏みにじらないため、僕たちは何をしていくべきなのか。男たちの友情と劇中でほのめかされる悲惨な差別の歴史が、そのヒントを示してくれる。

『おかえり、ブルゴーニュへ』(2017)


『おかえり、ブルゴーニュへ』(c)2016 - CE QUI ME MEUT - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMA


フランス映画界を代表する名匠セドリック・クラピッシュ監督作。ワイン醸造家だった父が死を目前にしたのを機に10年ぶりの再会を果たした3兄妹の関係性やワイン造りを通し、ブルゴーニュの美しさと人生の醍醐味を感じさせてくれます。

『おかえり、ブルゴーニュへ』(c)2016 - CE QUI ME MEUT - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMA


思い描いた理想のワインを造るためには、収穫時期や天気などありとあらゆる要素が絡んでくる。人生においても望んだ結果を得たいのであれば、それを得るために必要なものが絶対にある。

何を望むかにもよるが、自分ひとりでは果たせないことが、何かしらの支えを得なければ成し遂げられないことがたくさんある。その上でひとりで生きていくことを選ぶ人もいるだろう。誰かと支え合いながら生きていくことを選ぶ人もいるだろう。

人生に明確な答えがないように、そこに正解・不正解はない。ただ、どちらを選ぶにしろ、その決断に至るまでの過程が必ず存在する。