「僕の名刺代わりになる作品です」仲村トオルが出演映画50作目「行きずりの街」を語る!

2011/05/20 14:00 配信

映画 インタビュー

出演映画50作目となった「行きずりの街」で主演を務めた仲村トオル

'92年度版「このミステリーがすごい!」で第1位となった志水辰夫の小説を映画化した「行きずりの街」のDVDが5月21日(土)に発売される。同作は、失踪した教え子を捜すために12年ぶりに上京した塾講師・波多野(仲村トオル)が、ある事件に巻き込まれていくサスペンス。主演を務めた仲村に話を聞いた。

――この作品は、俳優生活25周年を迎えた仲村さんにとって出演映画50作目になりました

「最初に聞いた時は、“数字的に悪くないな”くらいの感想だったんですけど、だんだんと自分の中で重みが増している作品です。プロデューサーが、僕が俳優になるきっかけとなった「ビー・バップ・ハイスクール」('85年)の黒澤満さんだったので、仕事というより黒澤さんへの恩返しという気持ちで臨みました。スタッフの方々も、俳優を始めたころに出会った人たちが多かったのでとても大切な作品です」

――初めての阪本順治監督の演出はいかがでしたか?

「あまり何も言われなかったんですが、『ケータイの持ち方が丹波篠山の塾の先生に見えない』とか『走り方が丹波篠山の塾の先生に見えない』とは言われましたね。ケータイの持ち方にしても走り方にしても、人から見られる職業の僕に無意識のうちに染み付いたかっこいいやり方をしていたんだと思います。役をちょっと意識して不器用な先生っぽく見せました。あと、阪本監督は撮影を始めるときの掛け声が独特で『よーい!“誰々が何々をするシーン”、スタート!」って、これから撮るシーンの説明を付け加えるんです。そのシーンのスタート地点を間違えるなよ、ってことだと思うんですけど。それさえ間違えなければ、あとは心の赴くまま演じていいという感じでした」

――仲村さんが演じた波多野は、過去をひきずる情けない感じの男でしたね

「原作を読んだ時は僕もそう思いました(笑)。“阪本組”は初参加だったので、監督から言われた通りにただ演じようと心掛けました」

――別れた妻・雅子(小西真奈美)から「国語教師のくせに肝心なことは何も言わない!」とののしられる場面もありました

「波多野にとって言葉は重いものなのかもしれないですね。それで失敗した経験もあるので恐れているでしょうし。僕も今、取材を受けているから的確なことを言おうとしていますが、肝心なことは言葉にできないって思うところもあります。撮影現場でも何かしゃべろうとするんですが、『これって、口に出してまで言うことかな』と考えて、口に出さないことが多くて、結果、無口だとか寡黙ってよく言われます(笑)」

――初共演の小西さんの印象はいかがでしたか?

「現場では、“おはようございます”と“お疲れさまでした”しか言葉を交わさなかったんです。緊張してるなと思った人には、精神的距離感を縮めるために声を掛けたり、コミュニケーションを取ったりするんですが、小西さんにはその必要がないと思ったので余計な言葉は掛けませんでした。彼女にひっぱたかれるシーンでも“遠慮しないで思い切りやってください”といったことを言わなくても、注文通りのものが来ましたし(笑)」

――最後に今後の目標をお聞かせください

「自分の名刺代わりになるような代表作を次々と更新していくことです。今まではドラマ『空飛ぶタイヤ』('09年・WOWOW)だったんですが、これからはこの『行きずりの街』を僕の名刺代わりに出していくと思います。3年間同じ名刺を使わないように新たな作品を作っていきたいですね」