大東駿介、“運命”のようなHIKARI監督からのオファーに「どんな役でもいいから出演したい」<Interview>

2020/02/01 08:00 配信

映画 インタビュー

大東駿介


――ユマ役の佳山明さんとはどんなコミュニケーションを取っていたんですか?

現場で、シーンについての話をしたことは一度もありません。僕ができることは撮影の合間に明ちゃんが次のシーンに行きやすいような環境作り。楽しい場面の前だったら彼女を笑顔にするような会話をしたり、シリアスなシーンの時も感情を作りやすくしてあげたり、ほんの少し背中を押していた感じ。

でも、初めて芝居をするという状況で毎日過酷な撮影に挑んでいる明ちゃんを見ているうちに、僕自身が背中を押されているような実感があって。明ちゃんと大東という関係性が、劇中のユマとトシと同じようにうまく育っていったんです。

だから監督も順撮りにこだわったし、明ちゃんとの信頼関係もどんどん深くなっていきました。いまだに、彼女から人生相談の電話が掛かってきたりしますよ(笑)。

――「喜怒哀楽」全部を含めてユマの表情の豊かさに驚きました。

“演じる”って強みになる場合もあるし、弱みになることもあるんだなって思ったのは、やっぱり“生きる”ということには勝てないんですよ。明ちゃんはスクリーンの中でしっかりと生きていたので。だから、僕自身もトシとしてどう生きられるのか。

明ちゃんの目を見ていたらうそがつけないし、いつでも本当の気持ちでそこにいられたような気がします。すごくいい挑戦ができたなと思うし、明ちゃんに引っ張られることが多かったですね。

――タイを訪れた時に日本とのバリアフリーの違いを感じたことは?

まぁ、タイは単純に道が広いですよね。ただ、整備されていない道が多い。一人一人の意識としては、例えば僕と明ちゃんが一緒にいたらみんなが「助けてあげた方がいいのかな?」という目で見てくれる。

何かあったら「大丈夫?」ってすぐ手を差し伸べるような態勢でいてくれるなと感じました。日本だとなぜかみんな遠慮するじゃないですか。

――確かに手を貸した方がいいのかどうか躊躇(ちゅうちょ)するところがありますよね。

そうなんですよ。でも、別にそう思うのであれば相手に聞けばいいだけの話。電車の中で席を譲ったら怒られて腹が立ったという話もよく聞くけど、別に怒られたっていいやんって思う。

こっちの思いやりにはうそがないんやから、そこで怒り返すことはないんじゃないかなって。見返りが欲しくてやっているわけではないんやから。日本ももうちょっと、自分の思うがままに反応できる社会になればいいなと。この映画を見て、一人一人がそういう意識を持って前向きになってくれたらと思います。

――2019年も大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(NHK総合ほか)や映画「108~海馬五郎の復讐と冒険~」など、幅広いジャンルの作品に出演されていましたが2020年の抱負は?

僕は年齢や、今年は何年だからという数字の区切りで人生を考えたことがないんです。ただ、そうは言っても確実に年齢は重ねているので、その中で何を積み重ねていけるのかということが重要なのかなって。そういう意味では、来年、再来年の自分がどう変化しているのか。

考えるだけで何だかゾクゾクしてくるので、それを意識しながら今年1年仕事をしていきたいです。ありがたいことに、ここ最近は一つ一つの作品でいろんな発見があるんですよ。

だから、もっともっと僕に挑戦できる環境をください! よろしくお願いします。

取材・文=月山武桜

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