たとえ作品が難解であっても、彼の芝居だけは本物であると確信が持ててしまう。かつて“リヴァー・フェニックスの弟”“お騒がせ俳優”と呼ばれていた頃の彼はもういない。
『ザ・マスター』での第69回ヴェネチア国際映画祭、『ビューティフル・デイ』(‘17)での第70回カンヌ国際映画祭など、名だたる映画祭で男優賞受賞が続くこの男の勢いはもう誰にも止められない。
そして、これだけの名演を目の当たりにしていると、ホアキンという男が日頃何を考えて生きているのか、どのように心のバランスを保って演技しているのか知りたくなる。が、インタビューなどでは常にひょうひょうとしており、その人となりを感じ取ることは難しい。
ただ、後に結ばれるルーニー・マーラと初共演した『her/世界でひとつの彼女(‘13)』(2月1日[土]午後3:45 WOWOWシネマほか)が彼女と恋に落ちるキッカケになったのだとしたら、ホアキンが演じた主人公に彼自身の人間性が秘められているのかもしれない。
近年の作品では比較的見やすく、『ジョーカー』(‘19)とはまた異なる繊細な役柄を演じている彼の姿に、あれこれ妄想を膨らませてみるのはいかがでしょう。
彼女について思い浮かべるとき、『ブリジット・ジョーンズの日記』(‘01)を主としたコミカルな役柄の印象を抱く人が多いかもしれないが、彼女の神髄はその役作りの徹底ぶりにある。
今回の『ジュディ 虹の彼方に』(‘19)においても、世界的な歌手で女優のジュディ・ガーランドを歌声含め見事に演じ切り、『ブリジット~』に関しても、9kg以上体重を増やし、アメリカ人の彼女がイギリス英語をマスターした上であの愛されキャラを確立させている。
6年ほど映画やTVの世界と距離を置き、自らを見つめ直す時間を設けていたというエピソードからも、その何事にも徹底する人間性が垣間見えてくる。
休養期間中に得た多くのことを芝居に還元し、より一層進化(深化)して帰ってきた彼女の演技は、観る者をこれまで以上にとりこにすることだろう。
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