井上ひさしの傑作「雨」の稽古に市川亀治郎と永作博美が奮闘中!

2011/05/22 09:00 配信

芸能一般

井上ひさし作「雨」に出演する永作博美、市川亀治郎(写真左から)

舞台「雨」の公開舞台稽古と会見が5月19日、都内にて行われ、出演の市川亀治郎と永作博美が登場した。

ことしの春から夏にかけて、東京・新国立劇場では珠玉の日本戯曲3作品を連続で上演。その第二弾として、昨年4月に急逝した井上ひさしから、生前直々に指名を受けた栗山民也による新演出で、本作を上演。本作は、行方不明になっている東北・平畠の紅花問屋の旦那になりすまし、大金を手に入れようと画策する主人公・徳を市川が、徳の運命の鍵を握る女・おたかを永作が演じる。“人間と言葉”“中央と地方”をテーマに、色と欲に目がくらんで東北へ旅立ち、他人になりきるために方言を会得し、やがて大きな謀略に飲み込まれていく男の姿を描く。

市川は「とにかく出番が多く、せりふが多いです。多少参ってます。ただ名作といわれていることで諸先輩の方々がやっている、現代劇の中でも古典に属するものだと思うんですけど、今回栗山先生の演出でよみがえるわけですが、新作に挑むかんじで稽古に取り組んでいます」と思いを語った。一方、永作は「井上さんのお芝居は初めてなんですけど、ここまでいろんなものが詰まっていたんだとびっくりしました。やってみて初めて分かった感じで、いま一生懸命栗山さんに付いていってるかんじです。まだまだやらなきゃいけないことがいっぱいありそうです。それほど深い作品だと思いました」と語った。

また、本作について市川は「話自体はよくできている作品です。このごろの芝居はギャグで笑わせたりして面白くない芝居が多いけど、この作品は本当に芝居で見せるという意味で歌舞伎に近いものがあると思います。これは本当に芝居らしい芝居だと思いますね」と思いを明かし、永作も「私も全く同感ですね。力強い作品に久々に出会わせてもらって感謝しています。喜劇であり、喜劇である以上に悲劇でミステリーが凝縮していますので、見ていただく皆さんに堪能していただけるように、いま頑張ってる最中です。ぜひご覧になっていただけたらと思っています」と作品をアピール。

さらに、永作は「井上さんが見に来られた時は、『必ず一字一句間違えないようにしゃべってください』と言っていたみたいです。方言なんだけどメロディーのようになっているなと思いました。方言指導の先生もお話していたんですが、これは完璧などこかの方言というよりも、“井上さん語録”だと。微妙に語尾が違うので、最後ちょっとごまかしちゃったりしてます」とせりふの難しさについて話した。

最後に永作は「力強く、人が生きていくのは本当に大変なんだと。こんなに苦しくてこんなにしなきゃ生きられないんだというのが本当にたくさん詰まっている作品なので、これをぜひ伝えられるようにやっていきたいです」と意気込みを。市川も「今回は栗山さんに任せています。歌舞伎には演出家はいませんから、歌舞伎は自分で演出をするんですけど、今回は栗山さんがすごく細かいところまで言ってくださるので、逆に言われたままやろうかなと、そうすれば絶対いいものができると思うし。井上さんもそこまで考えていなんじゃないかっていうところまで掘り起こしていきたい」と熱く語った。