――言葉が通じないという苦労もありましたか?
1シーン、1シーンの意図を理解してもらうためには説明が必要。だけど、スタッフは誰も現地の人としゃべれないんですよ。中国でもインドでも私が間に入って何とかしないといけない。
私も相手の方も英語が完璧ではなかったので、ボディーランゲージを交えながら必死でした。日本人の目線で描いているストーリーですから、現地の方にそれを面白いと思ってもらうためにはどうすればいいのか、自分自身も噛み砕いて考えていきました。
演者として旅をしているというより、スタッフと一緒になって作品を理解してもらうために努力をしている。そのプロセスが楽しかったし、いい経験になりました。思っていた以上に大変でしたけどね(笑)。
――スタッフとの一体感が生まれたわけですね?
今回の旅は少人数だったんです。自分たちで録音したり、カメラを回したり。一応役割は決まっていたけど、その場で自分ができることをやる。
面白いチームワークでしたし、ものすごくハンドメイドな作品。その雰囲気は、たぶん映像から感じられると思います。
――旅といえばハプニングがつきものですが…。
ハプニングはもちろんありましたし、素敵な出会いもたくさんありました。例えば中国の成都で乗ったタクシーの運転手さんは俳優ではなく本職の方。
私が中国語を勘違いして、向こうも勘違いしたまま話が進んでいくという設定だったんですが、すぐにこちらの意図を理解してくれたんです。
決められたセリフじゃないかのようなナチュラルなコミュニケーションが取れました。ご本人もすごく楽しんでくれて、とてもいいシーンになったと思います。
――「インド編」のエピソードは?
インドは行ったことがない国でしたし、衛生面をはじめいろいろ大変そうな話を聞くじゃないですか。だから、すごく緊張しました。
私が汚物を踏んでしまうシーンでは、それを見て笑う売店のおばちゃんが出ているんですが、演技が見事なんです。あとで聞いたら当日(撮影の10分前)に出演を頼んだらしいんです。信じられないですよね。
そういう予想もしていなかったことが起きた一方で、びっくりしたのがインドのプロの役者さん。
素人のおばちゃんがとても素晴らしかったので、お芝居に期待していたんですが、この役者さんが全然頑張らないんです(笑)。
アドバイスをしてもぜんぜん聞く耳を持たないし、最後の方はちゃんとやってくれましたが、結構苦労しました。
――インドといえばガンジス川がありますね。
私自身、興味はありました。ただ、調べれば調べるほど衛生面が気になって、まだまだ旅は続くわけだし、何かあったらどうしようという不安がありました。
もちろん、現地の人たちは当たり前のように入っているんです。頭から足の先まで全身浸かることによって、カルマから解放されるという話も現地の人から聞きましたし、彼らにとっては聖なる水。かなり心が揺れました。結果的に入ったのかどうかは…見てのお楽しみということで(笑)。
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