──で、今回はそんなスピーチ上手の小沢さんに、歴代アカデミー賞授賞式の名スピーチの中から、お気に入りのスピーチをチョイスしていただきたいのですが。
小沢「まず俺は、アル・パチーノとかジョー・ペシとか、ああいう不良系の役者のスピーチはやっぱり好きだね。たまたま二人とも、今度(第92回)の(共に『アイリッシュマン』('19)で)助演男優賞候補になっているけど。アル・パチーノが8回目のノミネート(※1)で初めてようやく受賞した時の、『あんた達は俺の連続記録を邪魔した』っていうスピーチなんか、めちゃくちゃいいよね」
──第65回の主演男優賞を『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』('92)で受賞したときのスピーチ。これはつまり『あんた達に連続落選記録を邪魔されたぜ』っていう、アル・パチーノ流の感謝の言葉ですね。
小沢「こういうことを言いたいよね。あと、ジョー・ペシの『サンキュー』だけで帰っていくやつもカッコいい」
──『グッドフェローズ』('90)で第63回の助演男優賞を受賞した時の、このジョー・ペシのスピーチは、恐らく史上最短スピーチのひとつだと思うんですけど。キャラが立ってるから、それだけでも充分にカッコいいんですよね。
小沢「他にも映画の中のセリフみたいなことをポロッと言っちゃえる人がいるからね。その時の授賞式を観てなくても、それが会場でどれだけウケてたか簡単に想像つくスピーチがいくつもあるもん。例えば『ミザリー』('90)の時のキャシー・ベイツが言った『(共演者の)ジェームズ・カーンに感謝します。足を折ったりしてごめんなさい』なんて、絶対ウケてるよね。セリフとして、ちゃんと面白くなってるもん」
──映画の中でジェームズ・カーンは狂気のキャシー・ベイツにハンマーで足を折られてますから、映画を観た人には絶対ウケます。
小沢「俺、『ミザリー』が大好きだし、キャシー・ベイツが大好きなのよ」
──ちなみにキャシー・ベイツが『ミザリー』で主演女優賞を受賞したのも、ジョー・ペシと同じ第63回でした。
小沢「古いやつだと、『フレンチ・コネクション』('71)で主演男優賞を獲ったジーン・ハックマンの『この賞は僕の愛車に与えられたのだろう』っていうスピーチも、絶対ウケてる」
──それは第44回のときのスピーチですね。『フレンチ・コネクション』はカー・チェイスが話題になった作品なので、それをネタにしたスピーチでした。
小沢「こういうのが、まさにアカデミー賞授賞式って感じだよね。あと意外だったのは、『ジャンゴ 繋がれざる者』('12)の時の(クエンティン・)タランティーノのスピーチだね」
──第85回の脚本賞受賞の時ですね。
小沢「『長年記憶されるような映画を作りたいと思ってましたが、それを今やり遂げることができました』って。多分、タランティーノが好きなファンの中では、『ジャンゴ~』ってそれほど上位の作品ではないと思うのね」
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