アカデミー賞授賞式は名言の宝庫!スピードワゴン小沢一敬が選ぶ歴代名スピーチ<ザテレビジョンシネマ部>

2020/02/07 07:00 配信

映画

クエンティン・タランティーノ(第85回アカデミー賞授賞式より)Getty Images


──そうですね。初期作品のファンが特に多いですからね。

小沢「本人にとっても、もっと思い入れのある作品は他にあると思うんだけど、そんなタランティーノでも、こうやって賞をもらうと嬉しいんだなって。俺らも漫才とかを作ってる以上、こういう気持ちって必ずあるのよ。もちろんレベルは全然違うんだけど、タランティーノほどの人でもこうやって喜べるときが来るんだから、俺ももっと頑張ろうって思えたよね」

──タランティーノが「長年記憶されるような映画を作りたい」と思ってたというのは、ホントに意外ですけどね。

小沢「だよね。好き勝手に作ってるだけかと思ってたのに(笑)」

──その他、さっきの話にあった“捧げる系”では、お気に入りはありますか?

小沢「これは去年になるのかな? 『女王陛下のお気に入り』('18)のオリヴィア・コールマンのやつ」

──去年の第91回の主演女優賞ですね。スピーチの中で「私の親友で夫のエド。心から愛しています。25年間、私の最高の支援者です。彼は泣くでしょうが、私は泣きません」と、夫への素敵なメッセージを語ってました。

小沢「オリヴィア・コールマンって、たしか俺の一つ下ぐらいの年齢なんだけど、とてもいい歳の重ね方をした女性で、このスピーチも嫌みがなくてかわいいなって。『彼は泣くでしょうが、私は泣きません』って、めちゃくちゃいい奥さんだよね」

──最高の捧げ方ですね。

小沢「あとは捧げるシリーズだと、ロバート・デ・ニーロの『僕を生んでくれた両親と、両親を生んでくれた祖父母に感謝したい』っていうのもカッコいいよ」

【写真を見る】イケメン過ぎる!1981年のロバート・デ・ニーロ(第53回アカデミー賞授賞式より)Getty Images


──それは『レイジング・ブル』('80)で第53回の主演男優賞を受賞した時のスピーチです。

小沢「まあ、過去のスピーチの資料を見ると、ほとんど捧げるシリーズばっかりなんだけどね(笑)。フェデリコ・フェリーニが名誉賞を獲った時(第65回)のやつもいいよ。『全ての人に感謝は言えないので、ひとりだけ…泣かないで、ジュリエッタ』って、これ、奥さんに言ってるんだよ」

──シャレてますね~。

小沢「映画的だよね、この状況に、このセリフ」

──俳優や監督だけじゃなく、美術とか衣装とか脚本とか、そういうスタッフのスピーチも、いちいちシャレてますからね。

小沢「ちなみにさ、歴代でアカデミー賞の受賞回数が一番多い人は誰だか知ってる?」

──え、誰だろう? そうやってクイズにするんだから、メリル・ストリープとか、分かりやすい答えじゃないってことですよね?

小沢「そう。いつも飲み会でこのクイズ出すと、なかなか正解が出てこないんだ」

──意外なところに答えがあるんですね?

小沢「素晴らしい受賞者はたくさんいるけど、最多受賞者は、みんなが知ってる意外な人。せっかくだから、今回ここでは答えは明かさないでおこうか(笑)」

──エ~ッ!? めっちゃ気になるじゃないですか。

小沢「なんでも答えを明かすと、頭に残らなくなるからさ。気になる人は、是非自分で調べてみてほしいね。その答えを知ったら、きっと今年のアカデミー賞授賞式が、より楽しくなると思うから」

※1 同年、主演男優賞受賞前に発表された『摩天楼を夢みて』(’92)の助演男優賞受賞ならずも1回とカウントしています。

小沢一敬


愛知県出身。1973年生まれ。お笑いコンビ、スピードワゴンのボケ&ネタ作り担当。書き下ろし小説「でらつれ」や、名言を扱った「夜が小沢をそそのかす スポーツ漫画と芸人の囁き」「恋ができるなら失恋したってかまわない」など著書も多数ある。

取材・文=八木賢太郎