長与千種「GAEA JAPAN」15年ぶりに一夜限りの復活

2020/02/06 15:00 配信

芸能一般

長与千種「GAEA JAPAN」15年ぶりに一夜限りの復活

平成の女子プロレス界で革新を起こしながらも、05年4月、惜しまれながら解散したGAEA JAPAN(ガイア・ジャパン)が、一夜限りでよみがえる。開催日の4月15日は、95年に旗揚げ興行を開催した日。開催場所となる東京・後楽園ホールは、旗揚げと解散興行を行なった“格闘技の聖地”だ。

「GAEAISM ―Decade of quarter century―」と銘打たれた記念イベントでは、昨年12月8日、55歳の誕生日にみずからが興した団体・Marvelous後楽園大会で引退した元クラッシュ・ギャルズの長与千種がメモリアル復帰。GAEA時代の愛弟子だった里村明衣子(センダイガールズプロレスリング代表)、広田さくら(プロレスリングトWAVE)とタッグを組んで、KAORU(Marvelous)&永島千佳世(フリー)&植松寿絵(引退して地元・静岡県在住)と対戦する。

GAEAは、一世風靡したクラッシュが解散、全日本女子プロレス(消滅)で引退したあとの長与が94年に発足した女子プロ団体。05年に解散するまでのおよそ11年間で、女子マット界の歴史や記録、悪しき慣習や秩序を根底から覆し、ライオネス飛鳥や北斗晶、アジャ・コングといった有名レスラーが集結。老舗の全日本女子プロを出し抜き、業界トップに躍り出た。解散後も復活を望む声は多く、今回は旗揚げから四半世紀(25年)、ファイナルゴングから15年の節目を持って、現役やOGが決起することになった。

「GAEA JAPANは長与千種を構築した団体。ほんの1ミリの隙も、妥協も許さない、ドラマティックな展開がありました。唯一、全女(全日本女子プロ)を負かした団体だと思ってます。同時に、厳しい環境を里村明衣子ほかの選手に与えたのも、女子プロレスがはじまって初めてのことだったと思います」(長与)

“女子プロ界のカリスマ”長与、世界を股にかけて名実ともに頂点に君臨する里村をさしおいて、同大会のメインイベンターに任命されたのは、Marvelous代表の彩羽匠、センダイガールズのシングル王者・橋本千紘。GAEAのDNAが流れる令和プロレスの体現者が、シングルマッチで締めくくる。

「GAEA JAPANを観て、女子プロレスラーになりたいと決心しましたので、GAEA JAPANのリングに上がれるなんて、夢のよう」と感慨深げなのは橋本。小学生のときに観たGAEAの試合中継でプロレスの虜になり、中学、高校はレスリングで輝かしい実績を残した。05年、日大レスリング部出身初の女子プロレスラーとしてデビューするや、男性並みの太いふくらはぎ、屈強な上腕が、業界内外で話題となった。

橋本と同じ27歳の彩羽は、GAEA時代の長与を観て、女子プロ入り。かつて所属していた団体・スターダムを離れてまで、長与に師事した。

「自分の目標は、女子プロレスを変えたい。GAEA JAPANは、女子プロレス全盛期の最後の団体だと思ってます。だからこそ、『GAEAISM』で(今後のマット界を)動かしていきたい」(彩羽)

止まっていた時計の針が静かに、やがて過激に回りだすヨンテンイチゴー。そこには、過去と現在を踏襲した次代の女子プロレスが詰まっているに違いない。

(写真・文=伊藤雅奈子)

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