アンコール明け、衣装チェンジして帰って来た植田。アンコールへの感謝もそこそこに、話題は観客がどこから来たのかについて。中でも秋田から来た女性とのトークでは、食い付き過ぎた植田を西村がピアノの単音でたしなめるという、“夫婦漫才”のような息の合った掛け合いを見せ、観衆を笑わせるなど、和やかなムードに。
そして2020年秋のライブツアー「わくわく実験さん(仮)」を発表。これを受け、新しいおもちゃを買い与えられた少女のようにキラキラ瞳を輝かせた植田は、「もう2月ですけど(笑)、今年もよろしくお願いします」と名残惜しそうにトークを終え、「最後2曲やって終わります!」と宣言。
アンコール1発目に「ソロジー」を優しく語り掛けるように歌い上げ、そのまま「今日は本当にありがとうございました!」と、本当のラストソング「朝焼けの番人」で締めた。
最後にはベレー帽を取って深々と礼をし、西村と握手を交わし、観客には投げキッスをお見舞いし、全25曲2時間超のライブは終幕を迎えた。
これだけ“一唱入魂”で歌い上げたにもかかわらず、終演後のあいさつでも元気いっぱいに関係者と相対していた植田。
この華奢な体のどこにそんなパワーが眠っているのだろう、といつも不思議に思うが、「わたし、つくるし、それ歌う」の言葉通り、受け取り側はとてつもないことをしているように思えても、本人的にはあくまでも「自然体」の2時間を見せているだけなのかもしれない。
何度か書いたかもしれないが、「わたし、書くし、それ広める」の精神で何度でも書く。彼女の真骨頂は生歌であり、音源をはるかに上回る果てしない歌声が現場にはある。
女房のへそくりもいいけど、一度でいいから見てほしい…植田が生で歌うとこ。
ヒューリックホールを後にし、500曲以上入ったマイ音楽プレイヤーのシャッフル再生ボタンを押すと、流れてきたのは「愛おしい今日」という、うそのような本当の話。
“AI”に全てを見透かされたかのようで少し恥ずかしかったが、誤魔化すのも疲れた…。
確実に“愛おしい今日”だった。
取材・文=蒼野星流
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