2019年7月にEP「Daparture」でメジャーデビューを果たしたシンガーソングライター、川口レイジ。国内外のトップクリエイターと共に生み出した楽曲は、一般的なJ-POPとは一線を画す仕上がりで音楽ファンの注目を集めている。そんな彼が2月12日に1stシングル「I’m a slave fore you」をリリース。タイトル曲およびカップリングの1曲「STOP」は、現在放送中のドラマ「この男は人生最大の過ちです」(ABCテレビ・テレビ朝日)の主題歌&エンディングテーマとなっており、彼にとっては初のタイアップに挑戦した意欲作でもある。今回のインタビューでは本作の制作秘話のほか、デビュー前のエピソード、さらには3月に行われる初ワンマンライブまで全てを語り尽くしてもらった。
――メジャーデビューから約半年が経ちましたが、ご自身の心境や周りの環境に変化はありましたか?
川口:僕が音楽を本気で目指すようになったきっかけが、もともと学校でもちょっと浮いていたというか、周囲とバランスを取るのが難しいなと思ったことだったんです。学生時代、小学生の頃は剣道、中学校に入ってから高校2年のときに怪我をするまでずっと野球をやっていて、スポーツにしか興味がないような感じで。いろんなことでコミュニケーションを取りながら人間関係を築くというのが苦手だったんです。だから、自分の周りに人が集まってくるとか、そういうことがなかったんですけど、ストリートライブを始めたとき、自分が歌うと全然知らない人たちが集まって来てくれて、僕にとっては大きなコミュニティーができたというか。自分の居場所はこうやって作るんだっていう、その手段を音楽を通して知ることができたので、こんなふうに生きていけたらいいなと思ったのが始まりだったんです。それで、アマチュアのときはずっと路上やライブハウスで歌ったり、自分の歌を動画サイトにアップするという活動を続けていたんですけど、今のレーベルと育成契約を結ばせてもらったタイミングで、曲を作るために一旦それらの活動を全て休止したんです。その間は、それまで僕の音楽を聴いてくれた人たちの顔も見えない状態だったのが、デビューしたら、ライブやSNSのメッセージを通してファンの皆さんの存在が感じられるようになって。当時の感覚というか、自分が歌う意味というのがまた少しずつ目覚めてきて、今はとても充実した日々を過ごせています。
――デビュー前のお話も少しおうかがいしたいのですが、川口さんが音楽に興味を持ったきっかけは何だったのですか?
川口:父親の遺品のクラシックギターを手にしたことです。それと同じくらいの時期に学校でギターとマンドリンとマンドラで三重奏をする授業があって、たまたまクジ引きでギター担当になったことで自分でも弾くようになりました。そこから友達と一緒に演奏をしたり、カバー曲ですけど自分の演奏を動画サイトにアップするようになっていったんです。
――どのタイミングでオリジナル曲を作るようになったんですか?
川口:自分で曲を作れるんだって思ったのは、シンガー・ソングライターの友達が作っていたのを見てからなんです。そのとき初めて、曲って自分で作れるんだ!と思って(笑)。その頃には動画サイトへの投稿以外にストリートライブなどもやっていて、お客さんが集まってくれるようになっていたんです。そうすると、オリジナルが聴きたいですという声も増えてきて…。じゃあ、作ってみようかって感じで作り始めたんです。
――また、資料によると、レーベルとの育成契約を機に上京された川口さんは、東京とロサンゼルスを行き来しながら音楽制作に励まれていたとか。それにはどういった経緯があったんですか?
川口:最初は東京で曲作りをしていたんです。でも、それまで見よう見まねでやってきたこともあって、どうやって作ったらいいのか分からないところがあって。もちろん、たまたまいい曲ができることもあったんですけど、デビューするには一定以上のクオリティーの曲を量産していかなきゃいけないので、そのためにはどうすればいいのかが全く分からなかったんです。困っていたときにスタッフさんから、ロスで現地のミュージシャンとセッションしながら曲を作る機会があるというお話をいただいて。すぐにパスポート取りに行きます!って(笑)。そこから2〜3週間行って帰ってというのを断続的に続けていました。
――川口さんの音楽がJ-POPの枠にとらわれない音になっているのは、そういった経験も大きいんですね。
川口:もともとJ-POPとか洋楽とかのような線引きをする必要もないのかなと思っていて。僕自身のJ-POPを聴いて育ったカルチャーと、いろんな国のクリエイターの方たちのカルチャーが混ざって、見たことのない景色にいけたらいいなと思いながら、毎回曲作りをしています。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)