――今回リリースされるシングル「I’m a slave for you」は、放送中のドラマ「この男は人生最大の過ちです」の主題歌とエンディングテーマです。主題歌のお話を聞いたときの心境を教えてください。
川口:僕よりも家族が一番驚いていました。僕がシンガーソングライターになりたいというのも、基本的に親は絶対無理!って感じで反対していたんです。だから、デビューが決まったときも驚いてましたし、今回も主題歌!?って(笑)。逆に僕の方は、(タイアップを)経験したこともないし、実感も全くありませんでした。むしろ、そのときは、どうしたらいいんだろう?というので頭がいっぱいでした。
――どんなふうに作っていったんですか?
川口:まずは原作を読み込みました。スマホで読んでいたので気になった場面をスクショしたり、キーワードになる台詞を書き出したり。そうやっていろんな要素を集めていきました。
――タイトル曲の「I’m a slave for you」も、和訳すると「私はあなたの奴隷です」。かなり刺激的ですよね。
川口:そうですね。これは速水もこみちさん演じる主人公・天城恭一の台詞を元にしました。冒頭シーンから「僕を奴隷にしてください」という台詞が登場するなど、この作品は全編にわたってパワーワードやハッとする瞬間、展開がすごく多くて。それに負けちゃいけないなという気持ちがあったんです(笑)。なので、「I’m a slave for you」というフレーズをサビの頭にしたり、タイトルにすることによって、ドラマにも負けない強さを出したいなと思いました。
――2曲目の「STOP」がドラマのエンディングテーマですが、実は当初、川口さんが担当するのは主題歌だけの予定だったそうですね。
川口:そうなんです。ドラマサイドに提出する際、やっぱり何曲か提案したいなと思って。ドラマで描かれる要素が多いこともあって、切り口を変えたり、視点を微妙にズラしたりしたものを何曲か作って提案したところ、「STOP」もいいねってなったんです。
――「STOP」にも<奴隷>という言葉が入っているのは、そのためですか?
川口:はい。“奴隷”は一つ、絶対的なキーワードだったので。何曲か作った中でも、2曲には入れようと決めていました。
――言葉のイメージや強さもあって、普段作る曲では使いづらそうですが、こういう作品だからこそっていうのがあったんですか?
川口:そうですね…。でも、人間っていろんな意味で何かの奴隷だったりすると思うんです。趣味とかもそうだし、例えば、音楽を聴いていたら体が動いちゃうとか、お肉があったら絶対食べちゃうとか(笑)。自分の過去の恋愛や友達に聞いた話でも、相手のインスタグラムをすごい見ちゃうことってあるし(笑)。そういうのをいろいろ集めて、ドラマの物語と僕自身との共通項を探して、そこから歌詞に反映していく感じでした。
――ちなみに、歌詞の中で一番自分らしいフレーズはどのあたりになりますか?
川口:「STOP」の方では、好きな女性が手に入らないときの葛藤を表そうと思って書いたんですけど、特に<このままじゃ 今ここで 抱きしめてしまいそうだよ>っていうのは自分の感情に近いかもしれません。タイトル曲「I’m a slave for you」の方は、「STOP」よりももっと“奴隷根性”というか(笑)、“M心”みたいなものを強めに出していて。その中でも<抗わないで>というところで、相手にちょっと向かっていくところも表してみたり。そういう“隙あらば”みたいな部分は、自分と似ているかなと思います(笑)。
――初めてのドラマ主題歌に挑戦してみていかがでしたか?
川口:今回経験してみて、とても(自分に)向いているなと思いました。今まで自分の中から出てきたものだけで作っていましたけど、そうすると、どうしても世間とはズレが生じるところにいってしまう可能性もあると思うんです。でも、ドラマのタイアップは、例えば原作があるものは原作が支持されているからこそドラマ化されるわけで、世間とのバランスがいい作品が多いと思うんです。そういうものに自分がインスピレーションを受けて曲を作ることによって、自分の個性と大衆性の親和性が高くなるような気がするんです。実際、今回作った曲も今までにない、僕にとっても新鮮に思えるものになったので、できればこれからもどんどん挑戦していきたいなと思っています。
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