<攻殻機動隊「S.A.C. TRILOGY-BOX : STANDARD EDITION」&「SAC_2045」> 神山健治監督×マフィア梶田の濃密対談公開!

2020/02/12 21:37 配信

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「新しい表現でありつつ、これまでの『攻殻』の延長上にある未来の物語になっている」(神山)


「攻殻機動隊 SAC_2045」について「世界に向けた新しい表現でありつつも、これまでの『攻殻』の延長上にある未来の物語になっている」と語る神山健治監督(c) 士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会


マフィア梶田:「S.A.C.」シリーズの好きなところは、人間が人間であるが故に逃れられない呪縛を描いているところなんです。悲しみを背負った人間の業や、逃れられない情が見て取れる。それはあまりにもサイエンスが進歩しすぎた「攻殻」の中での一種の安心材料になっています。やっぱり「S.A.C.」シリーズは荒唐無稽なものは一切なくて、非常にリアルな人間性を描いていますよね。ただ、アンドロイドについては、リアルな人の形をしているとマズイなと思うんです。9課のオペレーターの女の子たち(通称 “オペ子”)にも特別な感情を抱きつつあって(笑)。

「攻殻機動隊 S.A.C. TRILOGY-BOX : STANDARD EDITION」より。「“オペ子”たちに特別な感情を抱きつつある(笑)」とはマフィア梶田の弁(c) 士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会


神山:愛着を抱いた時点で、オペ子にもゴーストが宿っているってことですね(笑)。まぁ、現実的に想像すると、ゴミ箱に手が生えているようなロボットの方がおそらく早く受け入れられると思うんです。でも、東大の稲見昌彦先生や“不気味の谷”を研究されている方とお話をすると、やはり人間そっくりなものを追求されている。ロマンですよね。そこに憧れる海外の方にも響くのが「攻殻」だと思います。「攻殻」を好きな海外の人たちって、自分たちにはない宗教観をファンタジーとして受け入れているんじゃないかな。「ブレードランナー」にも近いけれど、もっと神秘性を感じている印象です。

梶田:最後に新作の見どころを。

神山:2045年にどういうことが起きるだろうと現実に即してアイデアを出しながら、エンターテイメントとしてのファンタジー要素も入れています。世界に向けた新しい表現でありつつも、これまでの「攻殻」の延長上にある未来の物語になっている手応えもある。早く確かめていただきたいですね。