佐藤浩市×渡辺謙対談「謙さんの顔を見たときはちょっとホッとしました。戦友のような気持ちで、この映画に従事できた」<Fukushima 50(フクシマフィフティ)>

2020/03/04 07:00 配信

映画

映画「Fukushima 50」(フクシマフィフティ)に出演する佐藤浩市と渡辺謙撮影=山田大輔

2011年3月11日、東日本大震災の激しい揺れと巨大な津波によって甚大な被害を受けた福島第一原発。事故関係者90人以上に独自取材した門田隆将のノンフィクション作品「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫)を原作に、事故当時に何が起こっていたのか、知られざる真実を描いた映画「Fukushima50」(フクシマフィフティ)が3月6日(金)に公開される。

この作品で「許されざる者」(13年)以来、約7年ぶりに共演した佐藤浩市渡辺謙。佐藤は事故の最前線で指揮を執った福島第一原発1・2号機当直長の伊崎利夫、渡辺は福島第一原発所長の吉田昌郎を演じている。

――お二人は久々の共演となりましたが、お互いの印象を教えてください。

佐藤 信頼できる先輩である謙さんとは、実は1つしか年齢が変わらないんです。でも、生きてきた人生が違うのか、彼には僕にはない風格が漂っておりまして。

渡辺 何を言っているの(笑)。

佐藤 いや、本当に(笑)。そんな謙さんと改めてご一緒できたのはありがたかったです。でも、最初は(伊崎と吉田として)緊急連絡用の赤電話だけのやりとりだったんですね。撮影が1カ月以上経ってからようやく現場でお会いし、謙さんの顔を見たときはちょっとホッとしました。戦友のような気持ちで、この映画に従事できたと思います。

渡辺 僕も全幅の信頼がおけるすばらしい同志だと思ってます。実は「許されざる者」で共演したときに、「浩ちゃんの100本目の作品は、どんなことでも出るからね」と約束していたんです。そうしたら、最近の彼は多作なものですから、あっという間に100本を超えていて(笑)。その約束が今回、無事に果たせてよかったです。

―――佐藤さんが演じられた伊崎にはモデルとなった方がいらっしゃるそうですね。

佐藤 そうなんですが、僕が直接取材という形を取ってしまうと、そこに縛られてしまうと思ったので、ワンクッションを置くためにプロデューサーに話を聞いてもらいました。

渡辺 描かれていることは真実でも、この映画では名前を変えてあるし、キャラクター的には、あくまでもフィクションという形を取っているからね。

――そんな中で、佐藤さんが伊崎を演じるうえでヒントになったことはありましたか?

佐藤 事故の最前線にいらっしゃった方々がどのような気持ちで現場にいたのか、ということですね。自分たちが守ってきた原発で想定以上の事故が起きた。それを止められるのは自分たちしかいないと分かりながらも、今、自分たちにできることは何なのか。そして、それは日本という国を守るためなのか、それとも自分の家族や故郷を守るためなのか。その根幹を考えるうえでは、とても大切なヒントをいただいたと思います。

――その根幹とは、どういったものだったのでしょうか?

佐藤 どれが最初だったのかはわかりませんが、日本という国、家族や故郷、そうではない何かが三位一体となっていったんじゃないかと。それは大きく感じました。

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