2020/03/04 07:00 配信
――東日本大震災から9年。真の復興という意味ではまだまだ遠いところにあるのかもしれませんが、お二人は“復興”をどう捉えていますか?
佐藤 目に見えるものもあれば、目に見えないものもあると思います。僕はこの映画の撮影で福島の帰還困難区域にある桜を見に行かせていただいたのですが、人の気配が一切ないんですよね。そのときに自分自身が「いまもこの状況なのか」と思ったし、改めて「復興とは何なのか」と思いました。
渡辺 僕は震災後、岩手、宮城、福島の避難所を回らせていただき、復興への思いはエリアによってさまざまだと感じました。それこそ先日、気仙沼、仙台、郡山の東北3市で、この映画の先行試写会をやらせていただいて、僕と浩ちゃんは別の場所ではありましたが、そこに参加させていただきました。“復興”とはまた別かもしれませんが、この映画は福島をはじめ東北のみなさんにまず一番に届けたい、届けるべきだと思っていましたし、その方々に最初に見ていただけて本当によかったなと思いました。
――地元の方々の反応はいかがでしたか?
佐藤 正直、僕も謙さんもちょっと怖かったというのはありました。この映画にはつらい映像もあるので、それを経験された方々に見ていただくのは不安もあって。でも、実際に来ていただいた方々からは、「いい映画をありがとう」というお言葉をたくさんいただきました。やっぱり、この映画の出発点を東北から始められたのはよかったです。
渡辺 僕は気仙沼でカフェをやっているのですが、そこで働く20代の子たちにも映画を見てもらいました。震災当時、彼女たちは中高生だったのですが、この映画を見て自分たちが知らなかった情報や、そこでの人間ドラマを真摯に受け止めてくれました。この映画でどれほどのことを伝えられるのかはわかりませんが、それでも何か一つ、みなさんが考えるきっかけになってくれるとうれしいです
取材・文=馬場英美
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)