――葉村と2人で話すシーンが多いかと思いますが、演じる際に心掛けたことなどはありますか?
緊張感というよりは、会話を楽しんでいるような、見ている人も一緒に会話を楽しめるようにと意識して演じました。会話の内容は事件などの状況説明が多いのですが、それが耳に心地いいような…。
例えば、飲み物で言ったらコーヒーやウイスキー、音楽で言ったらジャズというような、落ち着いたテンポや雰囲気が葉村と岡田の会話にも出たらいいなと思っています。
2人を対立している風に見せることもなく、協力的に見せることもなく、岡田が最後にすっと出てきて、すっと消えるような。脚本や構成の段階で岡田と葉村のシーンが印象的なものになっているなと感じたので、こちらが変に印象的にする必要はないなと思い、フラットに演じました。
――シシドさんの印象はいかがですか?
単純にめちゃめちゃお芝居がうまい方だなと思いました。「こんなにされると困っちゃうよ」って(笑)。
とても華がある、外見の美しさだけじゃない、物を取るとか、歩くとか、視線を移すとか、そういう行動一つ一つに人としての華がある。一挙手一投足を見逃したくないと思わせるような方ですよね。
岡田という役柄的にも、葉村を観察しているような部分があるので、僕もシシドさんの動きの出方を見て、演じるスタンスではありましたかね。
音楽のセッションという意味でいうと、こっちが先に音を鳴らすのではなくて、葉村が鳴らしている音に岡田が入っていくという。そういうイメージでやり取りしていました。
――実際にセッションしてみていかがでいたか?
やはり心地よかったですね。耳で聞いても目で見ても。でも、岡田という役を演じる上で、たまに崩すのも大事だなと思いました。音楽でいうと、ちょっとずれたコード入れてみるとか、テンポをぐっと遅らせるような瞬間とか。
そういう“引っかかり”みたいなものは入れてかなきゃいけないなと思ったので、その時によってですが、せりふだけでなく目線の鋭さとかでも表現しました。
――2人はどこか似た者同士だなという印象があるのですが…
演じる前は、葉村にとっての岡田が「こいつ、私と似ている」というような存在になるかな?と思っていたのですが、演じているうちに逆だなと感じました。岡田にとって葉村が「自分と似ている」と感じる存在なのだなと思いました。
岡田が葉村との会話を楽しみに書店に訪れるじゃないですか。岡田にとって葉村は、行きつけのバーのマスターじゃないですけど、ふとしたときに会いたくなる。そういう存在でもあるのではないかな?と最近意識して演じています。心の欠けた部分を補うような。でも寄りかかりすぎない。その距離感がいいのかもしれませんね。
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