「ほんまでっか!?TV」の武田先生と池田先生が斬る! “エコ”と“エネルギー”

2011/06/03 09:00 配信

芸能一般

番組ナビゲーターを務める池田清彦先生(写真右)と武田邦彦先生(同左)写真=Hiroko Tsukada

CS放送のナショナル ジオグラフィック チャンネルでは6月5日(日)の“世界環境デー”に合わせ、「地球環境とエネルギー特集」を6月6日(月)より5夜にわたり放送する。この番組ナビゲーターに、「ほんまでっか!?TV」(フジテレビ系)に出演中の中部大学教授・工学博士の武田邦彦先生と、早稲田大学教授・理学博士の池田清彦先生が就任。インタビューを行った。

番組では、「巨大環境テクノロジー『地熱エネルギー』」、「巨大環境テクノロジー『太陽エネルギー』」、「サイエンスワールド6『水と地球外生命体』」、「エドワード・ノートンの地球大異変~オーシャン編~『汚染』」、「ペットボトル船で太平洋横断」といった、エネルギーにまつわる5つのタイトルが放送される。

――5つの中で印象深かったタイトルはなんでしょう?

武田「『水と地球外生命体』かな。宇宙や元素の成り立ちから地球や自然を理解するというのは興味深かった」

池田「『エドワード・ノートンの地球大異変』は、知らないことがたくさんあった。水の汚染問題は今はあまり注目されていないけど、21世紀後半は世界的な問題になると思うよ」

――身近なエコについていかがお考えですか?

武田「個人的にはペットボトルのリサイクルほど環境に悪いことはないと思う。あれは誰かが『環境にいい』と言ったからいいことになっているだけ。そもそも石油のリサイクルがペットボトルなんだから燃やせばいいんですよ。そこから新しいペットボトルを作るほうがよっぽどエネルギーかかる。科学的、合理的に考えると、今のエコは疑問だらけ」

池田「今のエコはみんなファッションでやっている感じがする。例えばエコバックって変だよね。レジ袋を減らす一方で、ゴミを出すための指定ゴミ袋を作っている。レジ袋をそのままゴミ袋にするほうがよっぽど無駄がないのに。よく化石燃料は悪いと言われるけど、森林伐採を防いでいる面もある。19世紀半ばごろまでは木を燃料にしていたから、化石燃料が見つかっていなかったら、今ごろ世界の森林は丸裸だったかもしれない。メリットもあるのに、デメリットばかりが取り上げられるのは問題。何が本当のエコなのかは、じっくり考えないとわからないんだよね」

――実践しているエコはありますか?

武田「極端に言えば、人間が生きているだけで地球には負担なわけだから、究極のエコは人間が死に絶えること(笑)。でも、もちろんそんなのは無理だ。僕は、人間は楽しむために生きていると思うので、みんな自分が稼いだ範囲で、好きなことを楽しくやれるのが一番だと思う。これを行政が制限するような社会、僕はイヤだ。みんな都知事に言ったほうがいいよ(笑)」

池田「特にないですね。基本的にエネルギーを使わない生活を送っているんで(笑)。自分が出演したテレビ番組もあまり見ないし(笑)、夜は早く寝ちゃう」

――原子力発電について教えてください。

武田「僕は30年前から『安全な原子力推進派』。今、『原発なんて危ないもの、誰が作ったんだ!』って怒ってる人がいるけど、そんなバカな話ない。原発は我々社会が作った“子供”。これまでその電力で快適な生活を送ってきたんだから、どういう形であれ、最後まできちんと見届けるべきだ。今後も使うなら、何が起きても完璧な安全体制を作る。使わないなら、しかるべき形で弔ってやる。それが僕ら“親”の責任だよ」

池田「武田先生のおっしゃる通り。原発に『イエス』か『ノー』しかなくなってしまっているけど、現実はその中間なんだよね。今でも原発に賛成の人が多いっていうけど、近所に作ってもいいかって聞き方をすれば反対が増えるはず。どんな人の意見なのかを考えないと、こんな調査は意味がないよ。これからは、天下りを排除した第三者機関を作って、既存の原発を徹底的にチェックする。少しでも危ないものは停止して、完璧に安全なものだけを動かす。その上で判断を仰ぐべきだと思う。それと今後は、原発を作りたい国の動向にも注目したいね」

――最後に、節電についてどのようにお考えですか?

武田「節電って庶民に苦労をさせたいだけだよね。個人的には、企業が自家発電を稼働させれば、電力は足りるんじゃないかと思ってる。現状、やりたい人は節電すればいい。先ほども言った通り、強制的に人の生活を制限するなんてひどいよね。やっぱり夏は涼しいほうが快適なんだから(笑)。みんなが制限されず楽しく過ごせる方法を考えること、それが僕ら科学者や工学者のプライド」

池田「僕の考えでは、動いていない火力発電所を稼働させれば、それほど電力不足にはならないと思う。あとは、電力の使用量、時間、料金などが細かくわかるシステムがあればいいと思う。そういうデータがあれば、家庭でも社会でも、節電だけじゃなく、いくらでもやり方が見つかるんじゃないかな」