――リアルだけどちょっと辛辣(しんらつ)で笑える世界観が魅力的ですが、脚本を担当しているバカリズムさんはどうやって書いているのですか?
バカリズム「一つ言っておきたいのは、僕はすごく女性を観察して描いたというわけではないんですよ。僕がOLさんだったらこう思うだろうってことを描いていて。ここで描かれることって性別は関係ないことばかりなんです。だから“女心”なんて分からない。恋愛も描いていないし」
夏帆「女性の世界の“あるある”というより日常過ごして誰もが感じたことがあることを描いていますよね。ただそれは普通の映画だったらフィーチャーしないところなんですよ。電化製品のコードが絡まって困るとか冬の朝は水道の水が温まるまで他のことをするとか…。誰しもがやっている日常をものすごいディテールで描いている。そこがこの作品の面白さだと思います」
臼田「普通の作品だったら絶対カットするとこだよね。でもそれが面白いというのがすごく贅沢」
夏帆「普通なら起きて、改札出て、会社に入っての3カットで終わるところだけど、退屈にならないんですよ。」
バカリズム「会社に行くまでで10分引っ張りますから(笑)」
臼田「それを面白く見せるのはさすがだよね。そしてそのときに繰り広げられる、意味のない会話が楽しくて。意味ないことがこの作品にはすごく意味があることなんです」
――演じていてこれまでの作品とは違うと感じたところはありましたか?
夏帆「台本もありますし、せりふもあるので演じてはいるんですけど、どこか素の部分も入り込んでいて…。素なのか芝居をしているのか境界線がすごく曖昧なのがこの作品ならでは」
臼田「現場に行ったらなんとなくみんなのセリフで小峰さまというキャラクターが出来上がっていく感じがします。最初は、テンポも早いし、せりふを間違えないようにしようと一生懸命だったんですが、撮るにつれて変わってきました」
バカリズム「そんなにがっつりせりふを追わなくてもいい感じがあるよね。面白ければもし噛んでいても監督は使っちゃうから」
夏帆「あと日本語がおかしかったりしてもね」
バカリズム「そのナチュラルさがこの作品の魅力だと思います」
――最後に、自分が演じているキャラクターの魅力をアピールしてもらえますか?
臼田「小峰さまは、一番まともな人物。それが愛すべきキャラたちの中にいると普通じゃない面も見えてきて…。面白いですよね」
夏帆「真紀ちゃんはいい感じの緩さがあるというか。友達にいると楽しいだろうなって思います。映画では防犯訓練のシーンがあるんですが、その真紀ちゃんがすごく彼女らしくて(笑)。ぜひ、ご覧になって確かめてください」
バカリズム「僕に関しては僕なんですよ。VRのカメラをつけて入ったゲームのプレーヤーみたいな立ち位置。なので、ご覧になる方は僕の目線で見ると楽しいと思います!」
取材・文=玉置晴子
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