90年代から、デイ=ルイスは演じるキャラクターに“成り切る”を超えて、“そのものになる”ことに文字通り命を懸けてチャレンジすることになる。撮影中は本名で呼ばれることを嫌い、役柄に応じて生活スタイルを変え、狩猟やボクシングも完璧なまでに身につける(役作りのスパーリング中に鼻を骨折しており、現在も鼻が曲がっているのはそのせい)。もはやメソッド演技をすぎて憑依の域だ。
ルックスが良く演技はオスカー級。引く手あまただったのに突如、スクリーンに背を向け1998年にイタリア、フィレンツェの靴職人に弟子入りした。マーティン・スコセッシ監督に説得され、呼び戻されるまでなんと4年。転職していたと言ってもいいレベルで靴作りに没頭していた。
そして復帰作の『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)は19世紀のアメリカに生きた、ギャングの肉屋を演じた。撮影中、極寒の日でも当時はなかったからと言って厚手のコートを着ることなく、肺炎になってしまったにもかかわらず同じ理由で服薬も拒んだ。これは本当にやりすぎ。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)