――有村さんは撮影前のコメントで、最近はお芝居について悩んでいたとおっしゃられていました。
有村「はい。最近はとくに等身大の女性を演じさせていただく機会が多くて、そのなかで自分なりにどうやって違いを出していけばいいのか悩むことが多かったんです。もうこれ以上出せるものがないかもしれないと感じていて。そんなタイミングで『8通りの私を演じる』という、まさに斜め上から降ってきたような話で(笑)。これならいろいろなことが試せるかもしれないと思い、飛び込んでみたいと思ったんです」
是枝「僕は今回8本のうち2本を撮らせていただきました。1本を撮って、それから中1日空いてもう1本を撮ったんですが、どちらも全然違う雰囲気になっていてさすがだなと思いました。どちらも狙って演じ分けをしていない感じがして、それがとても良かった」
――是枝監督がご自身以外の脚本で撮影することも珍しいと思いますが、そこはいかがでしたか?
是枝「すごく新鮮な体験でした。でももし自分の脚本だったら、有村さんのおへそを撮り続ける『人間ドック』(第3話)をオファーするのはなかなか勇気がいると思うので、そこはむしろ言い訳ができて良かったなと(笑)」
――是枝監督は役者の「声」を重視することでも知られていますが、有村さんの声はどのように感じましたか?
是枝「最初にご一緒させていただいた朗読の時から、ずっといい声だなと感じていました」
有村「あの、声のどんなところを気にされるんですか?」
是枝「僕が言うところの『いい声』というのは、単純に声質が好みとかではないんですね。発したセリフの周辺に、いろいろな意味や感情が滲み出てくるという意味合いなんです。そういう意味で、素晴らしい声だなと思っていました」
有村「そうなんですね。ありがとうございます」
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