田中れいな、ファンレターに涙「子どもたちに私のお芝居が届いてるんだって…」<インタビュー>

2020/03/23 06:00 配信

芸能一般 インタビュー

練習は努力ではなく、当たり前のことと話す完璧主義者の田中れいな。「初めての現場でも遅れを取りたくないし、足手まといになりたくない」撮影:橋本千尋


珍しく歌で苦戦。頭はパンク寸前に


――稽古や本番の思い出はどうですか?

田中れいな:稽古は1カ月半くらい。それまでの出演作ではだいたい2、3週間だったので、「あ、けっこうあるな」と。案外平気かもと思っていたんです。でも、私以外のキャストさんは今まで「赤毛のアン」に参加してきた方々で、私は主役のアンなのに、スタート地点が皆さんより低かったんですよね。

それは当たり前のことなんですが、私は遅れを取りたくないと思う性格なんです。足手まといにもなりたくない。だから、今まで以上に必死になりました。最低限、合流初日から台本を外せる(手放せる)ようにしておこうって。

――最低限のラインが高いですね。

田中:そうですか?(笑) “ミザンス付け”と言って、場位置を付ける立ち稽古があるんですが、普通だと数日から1週間くらいでミザンス付けに入るんです。でも、「赤毛のアン」では合流2日目でミザンス付け、3日目でもう通し稽古だったんですよ。「無理やろ!」と思ったんですけど、なんとか通せて、覚えてきて良かったなって思いました。

――普段、台本はどのように覚えられるんですか?

田中:私は耳で覚えるタイプで、昨年は、アンのセリフ、相手のセリフを一人芝居で録音して、お風呂に入るときもずっとそれを聴いていました。本当に一日中聴いているときもあったし、ここまですれば稽古までに覚えられるんだって知れましたね。

――得意の歌のほうはどうでしたか?

田中:歌は苦戦しました。私、曲の覚えは人一倍早いと思っていたんですが、「赤毛のアン」に関しては1曲につき1、2箇所、どうしても歌えきれないところがあったんです。リズムのせいなのかな? 自分の中では当たり前だと思っていた流れがなかったというか…。変拍子みたいなところが多くて、私の感覚なら入る箇所で入らず、2テンポ遅く入ったり。そういうところにぶつかったんですよね。最初の歌稽古のときは、「帰りたい…」ってなりました(笑)。あんなに練習してきたのに、「こんなにできんか」って。

今回は仮歌がなくて、オケと譜面だけだったというのも大変でした。ピアノで音を出しながら、「この音? ここで? おかしくない?」みたいに、一つ一つ確認です。

全22曲を2日間の個人レッスンで教わって、もう頭はパンク寸前でした。でも、そうやってぶつかったからこそ、合流前にセリフも歌も覚えられたし、通し稽古でも気持ちのままに動けたし、人間、やればなんでもできるようになるんだなって思いました。

私、追い込まれないと覚えられないタイプで、そう思うと「赤毛のアン」は1カ月も前から追い込まれていたんでしょうね(笑)。