宮本亜門演出のブロードウェイ・ミュージカル「太平洋序曲」の公開通し稽古が6月16日、神奈川県内にて行われた。
本作品は’04年、ミュージカルの本拠地ブロードウェイでロングラン公演を成し遂げ、トニー賞4部門にノミネートされた演目。ブロードウェイの興奮から6年、宮本が満を持して再び手掛ける「太平洋序曲」の魅力を紹介する。
■世界から見た日本を描く
本作は江戸末期の日本から始まる。鎖国から開国に至った激動の時代の日本を「西洋の目」を折込み、地位や価値観が変わっていく様子を表現。さらに物語は現在の日本にまでときは流れ、東日本大震災や原発問題にも及び、宮本自身も「今後の日本について、たくさんのテーマが入っています」とアピールした。
■魅力あふれるキャストが集結
キャスティングに2年の月日をかけたという本作。才能と個性あふれるキャストにも注目だ。幕府からアメリカ艦隊との交渉役を命じられた香山弥左衛門を演じるのは八嶋智人。ドラマ、舞台や番組司会など多方面で活躍する八嶋だが、ミュージカルは今回が初挑戦。「僕の初体験と共にいてください(笑)。優しくしてね」とコメントを寄せた。山本太郎は物語の重要なキーマンとなるジョン万次郎を熱演。「毎ステージ、真剣勝負で臨みます。きょうが最後かもと思って…引退するわけじゃないですよ(笑)」と意気込み、八嶋も以前「鬼気迫るものがある」と圧倒されるほど、本作に取り組んでいる。ほか、落語界から抜擢された桂米團治がストーリーを狂言回しでナレーションを担当。田山涼成も幕府要人の役を、持ち味を活かし演じる。
■演出は宮本亜門
「ブロードウェイではない、また新たな『太平洋序曲』が誕生します」と出来上がりに自信をみせる宮本。英語と日本語が混ざったコミカルな台詞や、客席を巻き込んだ演出などが、観客を圧倒する。天井には巨大な星条旗が掲げられ、黒船来航の脅威を表現するなど会場の隅々にまで演出が散りばめられている。
■物語の“舞台”はカナガワ
本作の会場は’11年1月にオープンしたばかりの「神奈川芸術劇場ホール」通称“KAAT”(神奈川県・横浜)。「開国」という扉を開けたエポックメークな土地で上演。劇場のまわりには、横浜開港資料館などの施設があり、本作をより深く考えられる土地柄にも注目。
ブロードウェイ・ミュージカル「太平洋序曲」は6/17~7/3まで上演される。
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