アクの強い吉本芸人たちを容赦なくイジり倒した著書「この素晴らしき世界」(新潮社)で、ベストセラー作家の仲間入りを果たした東野幸治のロングインタビュー。後編では、引き続き吉本芸人の面白エピソードを披露してもらいつつ、昨年の騒動によって変革の時を迎えている吉本興業について、また、今年2月にスタートしたYouTubeチャンネル「東野幸治の幻ラジオ」についても話を聞いた。
――先日、「この素晴らしき世界」出版記念のトークショーで、東野さんは「(プロダクション)人力舎の芸人でこういう本を作ったら、全然違うものになる」というようなことをおっしゃっていましたが、改めて、吉本芸人の魅力とは?
東野幸治:60、70代の師匠から10代の若者までが、同じ会社に所属しているわけですから、文化も違えば、育ってきた環境も違う。ジェネレーションギャップがあるんですよね。というか、ジェネレーションギャップっていう言葉すら、わからん人もおったりして(笑)。やっぱり、その層の厚さが一番面白いところなのかなと思います。
僕は今52歳なんですけど、30代から50歳前後の芸人からすると、60、70代の芸人さんって、なんかおもろいんですよね。日常生活から何から、すべてが面白い。で、その面白さを、僕みたいな人間が、ライブやテレビで披露することで、ファンの層が広がったり、その芸人さん自身、新しい面白さが出てきたり。それはやっぱり、吉本だからこその幅の広さなのかなと。
――「日常生活が面白い」というのは、例えば…?
東野:いや~、壮絶ですよ。借金があって、質屋に金のネックレス入れてお金に換える人もおれば、パイプカットしてる人もおるし。フロンガスはあかんって散々言うてるのに、人がうどん食うてる横で、髪をセットするためにスプレーを延々頭に吹き付ける人がおったりね(笑)。
――若くして吉本興業に入られて、面白い人にたくさん出会ってきた東野さんですが、そんな中で、どんなことを学びましたか?
東野:最初はダウンタウンさんと一緒に、若いお客さんに向けた、その時代の最先端のバラエティー番組に出させてもらえて、それも経験できてよかったと思うし、それとは逆に、昔ながらの、そして未来永劫続くであろう(笑)、劇場の文化も経験することができて。この2つを経験できたことが、やっぱり僕にとっては大きなプラスやったなと思いますね。
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