中盤以降の展開がほぼネタバレになってしまうため多くは語れないが、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』には細部に至るまで「アイアンマンを超える」ための仕掛けが張り巡らされており、恐るべき精度の“脚本力”に圧倒されることだろう。ストーリーの流れはもちろん、細かいセリフ回しにもシリーズ愛が存分に盛り込まれている。
例えば、『スパイダーマン』シリーズの名セリフ「大いなる力には、大いなる責任が伴う」と連動したあるセリフや、劇中に登場するガジェット「E.D.I.T.H.」が意味する「Even Dead,I'm the Hero.(たとえ死んでも私はヒーロー)」は、トニーの名言「私がアイアンマンだ」を彷彿させるものであると同時に、ピーターに向けた激励のメッセージにもなっていく。
さらに、ピーターがトニーとオーバーラップする感動的なシーンも用意されており、一度ならず2度、3度と観ていくことで“涙腺崩壊ポイント”が増えていくことだろう。
新型コロナウイルスの影響でMCU新作『ブラック・ウィドウ』が公開延期となってしまった今、本作が果たす“意義”はますます重要だ。初見の方はもちろん、既に観ている方も今一度、この完璧な1本を堪能していただきたい。
1987年生まれ。東京学芸大学卒業後、映画雑誌&映画情報サイト編集者を経て映画ライターに。複数のウェブメディア・雑誌・映画公式サイト等に寄稿するほか、トークイベントにも登壇。Twitter「syocinema」
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