――今まで、どのような心構えで生徒と向き合ってこられましたか?
人生経験がある方ではなくて、家族も金持ちではなかったですけど、めちゃめちゃ貧乏というわけでもない。ほしいものはすぐには買ってもらえない家でしたけど、別にひどい境遇でもなくて、普通っちゃ普通なんですよ。20代のときも、自分史に刻まれるような大きな何かがあったわけでもないし。
そんな僕が、生きてきた中で味わったことのないような、経験したことのないようなつらいことを中学校や高校で経験している10代と話をするとなったときに、じゃあ何が言えるんだと。
最初は良いことを言おうとしか考えていなかったです。どこかから引っ張ってきた良いことを自分なりに言うとかだったんですけど、自分で喋っていても、「全然気持ちが乗ってないな」と思っていましたから。
――どこか本心ではなかったということでしょうか?
結局、それは、自分が良いことを言ってよく思われたいという気持ちがあったと思うんですよ。あとは人に怒られたくなかったし、聞いている人にもいろいろ思われたくなかったということだと思います。
でも、それはさすがにまずいなと思って、それからは、聞いている子たちは自分の友達だと思って話をしています。友達がめちゃめちゃへこんでいたら、話を聞くじゃないですか。ただそれをやっているだけです。
――校長という立場や年の差も関係ないのですね。
喋っているときは全く考えていないですね。友達が落ち込んでいるから、単純に「どうしたの?」と聞いているだけです。それで何か言葉が返ってきたら「じゃあ一緒に考えるか」と言って。それくらいしか本当に考えていないんですよ。
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