佐藤健、菅田将暉、竹内涼真ら『平成仮面ライダー』俳優が“見つかる”その必然[主演編]<ザテレビジョンシネマ部>

2020/04/21 07:00 配信

映画

『仮面ライダーW FOREVER A to Z/運命のガイアメモリ[ディレクターズカット版]』 (C)2010 劇場版「W・ゴセイジャー」製作委員会 (C)石森プロ・東映


最近、ネット上では“○○○を最初に見つけたのは私”という声をしばしば目にする。若手俳優が人気のドラマなどで突如として話題になったときに、そのドラマより以前のドラマで既に注目していたという根拠のない自慢なのだが、“その人気ドラマより以前に出ていたドラマ”よりもっと以前に、見つけていたのが特撮ファンだ。

なかでも佐藤健、綾野剛、菅田将暉福士蒼汰、吉沢亮、竹内涼真など、人気と実力を兼ね備えた多くの若手俳優を輩出してきたのが「平成仮面ライダー」だ(4月から7月に劇場版44作品を放送、WOWOW)。仮面ライダー役から人気俳優へと大きく飛躍した歴代キャストたちにフォーカスし、その魅力を2週連続企画で読み解く。

「平成仮面ライダー」俳優の“強さ”


ではなぜ「平成仮面ライダー」の俳優たちはスゴイのか、それには理由がある。ドラマが通常1クールとなった今現在で、常に放送が1年に及ぶドラマは大河ドラマと「スーパー戦隊」「仮面ライダー」くらいとなった。

彼らは1年を通して同じ役を演じることとなり、加えて「仮面ライダー」シリーズは東映という映画会社の制作ゆえ映画畑のスタッフも多く、役への取り組み方やモチベーションの持続、真夏や真冬の撮影も乗り越えられる体力などが鍛えられる。どんな新人俳優も番組が終了する頃には演技はもちろん、アクションまでこなせる俳優となっているのだ。

多くの人が「仮面ライダー」にもつイメージは怪人と戦う正義のヒーローの子ども向け番組。それは間違いない。さらにアクションあり、笑いあり、涙あり、友情と裏切り、恋愛に三角関係、推理に謎解き、悲劇の定番である親殺しや同族殺しまであるのが「平成仮面ライダー」だ。

その第1作となったのが「仮面ライダークウガ(2000~2001)」。謎の遺跡の封印を解いてしまったため現れた未確認生命体グロンギ族と、その遺跡で発見されたベルトを装着したことでクウガとなってしまった五代雄介が“人々の笑顔を守る”ために戦う。

雄介を演じたのは今や実力派俳優となったオダギリジョーで、いつもニコニコしている能天気なおよそヒーローらしくない主人公を演じている。そして「クウガ」の特徴のひとつはクウガが警察と協力して戦うという刑事ドラマの要素があることで、その面も極めてリアルに描かれている。

水嶋ヒロ主演「仮面ライダーカブト(2006~2007)」


『劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE[ディレクターズカット版]』 (C)2006 劇場版「カブト・ボウケンジャー」製作委員会 (C)石森プロ・東映


隕石の落下によって渋谷周辺が壊滅するという衝撃的な展開で始まったのが第7作「仮面ライダーカブト(2006~2007)」。その隕石から現れた宇宙生命体ワームは人間を惨殺、その人物に擬態し、また人間を襲っていく。両親をワームに殺され、妹を守るためにカブトになったのが天道総司で、「天の道を往き、総てを司る男」と自称し、つまり自分がいちばん偉いと思い込んでいる、常に上から目線のドSキャラ。

そんな天道を演じたのは水嶋ヒロで、クールな顔立ちと相まってキャラが際立っていたが、不意に見せる優しさで思わずキュンとさせるツンデレでもあった。『劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE(2006)』(5月10日(日)朝11:35、WOWOWシネマほか)ではTV版と別展開の物語で、K-1ファイターの武蔵とのバトルが話題となった。

『劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE[ディレクターズカット版]』(C)2006 劇場版「カブト・ボウケンジャー」製作委員会 (C)石森プロ・東映


佐藤健主演「仮面ライダー電王(2007~2008)」


『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生![ファイナルカット版]』 (C)2007 劇場版「電王・ゲキレンジャー」製作委員会 (C)石森プロ・東映


過去に戻って歴史を都合のいいように変える精神生命体イマジンと戦い、正しい歴史に戻すのが第8作「仮面ライダー電王(2007~2008)」。主人公の野上良太郎は気弱でおとなしい性格だが、イマジンに憑依されることで別人格の電王となる。

演じたのは佐藤健で、憑依された性格の全く違うイマジンに合わせて人格を見事に演じ分け、(放送開始当事)仮面ライダー俳優史上最年少の17歳ながら既に演技派だった。得意のブレイクダンスが見られるのも今となっては貴重。「仮面ライダー」の劇場版は外伝的要素の強い作品も多いが、『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!(2007)』(5月16日(土)朝10:00、WOWOWシネマほか)は、TV版第27話と第28話の間の出来事で、TV版を見ているとさらに楽しめる内容となっている。

【写真を見る】『劇場版 仮面ライダー電王―』で主演を務めていた当時の佐藤健(C)2007 劇場版「電王・ゲキレンジャー」製作委員会 (C)石森プロ・東映


瀬戸康史主演「仮面ライダーキバ(2008~2009)」


『劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王[ディレクターズカット版]』 (C)2008 劇場版「キバ・ゴーオンジャー」製作委員会 (C)石森プロ・東映


1986年の父親と2008年の息子という2つの時代の物語を並行して描いたのが第9作「仮面ライダーキバ(2008~2009)」。

現代パートで引きこもりの潔癖症バイオリン職人という異色の主人公の紅渡を演じたのは、ドラマ版「海月姫(2018)」で女装する美少年・鯉淵蔵之介役で話題となった瀬戸康史。「キバ」の頃から特異な役柄でも自然体で演じる能力に長けていた。終盤では敵ファンガイアのクイーンとキングとの三角関係となり、ドロドロの愛憎劇を繰り広げた。『劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王(2008)』(5月17日(日)朝10:00、WOWOWシネマほか)では息子である渡が1986年へと跳び、父の音也と出会う。