――アクションのような「動」の部分を料理シーンで見せるというのは結構大変だったと思うのですが、演出的に意識されていたのはどのようなところですか?
大谷:大将は中華鍋を派手に振ったりしてパフォーマンスするような料理人でもないですし、あくまで居酒屋の大将として普通にやっていて。その点で言うと、監督は料理の見栄えの方にこだわっていて、並べ方や盛り付けなどをものすごく細かく演出されていました。
セットに並んだ料理を品川さんがチェックして、細かく位置を直したり、終いにはモニターをセットのカウンターのところに持ってきて映りを見たりしながら、いかにおいしそうに見えるかということにかなりこだわっていました。
――異世界モノであるこの作品の「世界観」についてはどのように思われましたか?
大谷:僕は結構現実主義なところがありまして、まず京都に構えるお店の表口が異世界と繋がった理由とか、そういうところをいろいろ考えちゃうんですよね。何でこうなったのか、そこに何の意味があるのか、考えだしたらキリがないんです。
現場でもそういう話は結構していたんですけど、大将や(武田玲奈演じる)しのぶは「なってしまったものは(しょうがない)」と言うか、別にそこに疑問を持たずに当たり前のように営業していて。異世界の住人たちが店にやって来て、ビール一つに感動してという、その世界に二人は馴染んでいるわけですから、役としても馴染むしかなかったんです(笑)。
特に大将は、お客さんが日本人だろうと異世界の人々だろうと喜ばせたいという思いは変わらないですし、演じている僕も「彼らの口に合うものをお届けしたい」という思いでやっていました。
個人の気持ちとして異世界とか、非現実的なものに目を向けていくとあんまりストーリーが進んでいかないので(笑)、「こういうものなんだ」と思って納得して、当たり前のように演じていました。
――居酒屋のセットも非常に精巧に作られていたようですが…。
大谷:すごかったですよ。写真だけでは伝わらないくらい、実際にセットに入ると居心地が良くて。
――中世ヨーロッパ風の格好をした異世界のお客さんたちが和風な居酒屋に入ってきても、意外と馴染むものですか?
大谷:僕もそれがすごく心配でした。とは言え、馴染むも何もお客さんが来ちゃったので(笑)。(お店に異世界の住人たちが)いるっていうことが日常的になった中から物語がスタートしているので、そこを成立させないと。こちらが違和感持っていてもしょうがないですし。
でもやっぱり、中世ヨーロッパ風の格好をしたキャストの方々がキャラクターをしっかり持ってきてくれて、それに沿ったせりふを言ってくださるので、対応する側としても違和感なくやれたと思います。僕はモニターでたまにチェックするくらいしか出来なかったんですけど、むしろ華やかな映像で、その融合が面白かったです。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)