NHK総合ほかで放送中の連続テレビ小説「おひさま」でヒロイン・丸山陽子(井上真央)の義理の母・丸山徳子を演じる樋口可南子にインタビューを行った。ドラマでは、高良健吾演じる丸山家の一人息子・和成が戦争から帰還し、陽子、徳子と道夫(串田和美)の家族4人の新しい生活が始まり、戦後の日本を生きていく丸山家の姿が描きだされていく。
――撮影が始まってからの「おひさま」への思いを教えてください。
本格的に参加したのは9週目からでしたので、参加する前すでに「おひさま」ファンになっていました。本当に泣けて泣けてしょうがない作品でした。私が途中で参加できるかなと思うくらい、皆さんキャラクターがしっかりしていたので、私はどんな風に出ていくんだろうと思っていたんですけど、徳子は不思議なくらい明るくて、おっちょこちょいで、息子より前に娘さんをくださいって言ってしまうので、こんな人いるのかなって思うくらいびっくりしましたね(笑)。
――「おひさま」で共演を通して、井上真央さんの印象はどうでしたか?
最初のそば畑のシーンからすでに、なんて頼りになる人なんだと思っていました。私たちはなんていい主演に恵まれたんだろうなって思います。かわいくて、かしこくて、とてもハートのあるお芝居をしてくれます。彼女がいるからこそ、それぞれのキャラクターが際立っているんです。彼女が中心にいてくれることで、すごくいいハーモニーが生まれているんだと思います。
――一人息子の和成を戦地に送り出す演技で気をつけたことは?
高良くんとは初めて共演させていただいたんですけど、お芝居もとてもまっすぐで、無駄なことしないで、静かに自分の芝居を乗せていく人なんです。だから台本読んだ以上に出征して行くとき、当時のお母さんはこういう風に思っていたんだろうなって気持ちになりました。私は芝居というよりも彼の立ち姿を見るだけで、お母さんになれてしまっています。
――ご自身と徳子を比べていかがですか?
うちの夫が「あんなに優しい顔するんだな。やっぱり女優はすごいな」って言ってます(笑)。最近毎日一緒に見て泣いてますので、夫がどこで泣くかというのが私の最近の楽しみなんです。多分きょうのあそこで泣くだろうなって思うと、ちゃんとそこで泣いてます(笑)。だから徳子と自分とは大分違うと思います。たくましいし、かわいいし、優しいし、私はあんな風にはできないですね。夫が証言…家では見せない顔を芝居で見せている(笑)。
――そば店・丸庵での雰囲気は?
楽しいシーンのときはギリギリまでみんなで雑談しています。それと、意外と高良くんという人が面白い人なんです。高良くんに質問を投げかけるといつも面白い答えをくれるんです(笑)。高良くんはすごい二枚目なんですけど、最初に会ったとき、こんなに目がふざけてる人はいないなって思って。「目がふざけてるって言われたことない?」って聞いたら「え?そんなこと言われたの初めてです。どういうことですか?」って言われて「う~ん、私も初めてそんなこと人に言ったから」って(笑)。ずっと考えたんですけど、あの若さで、目がとても色っぽいってことだったんです。答えることもすごく不思議な答えが返ってくるので、私と真央ちゃんで楽しんでます(笑)。
――井上さんが出産するシーンでの印象は?
とても神聖な気持ちになりました。印象的だったのは、高良くんはそのシーンの前、ずっと気持ちを集中していたんです。赤ちゃんが生まれるシーンでそんなに集中してどうするんだろうって思って見ていたら、赤ちゃんが運ばれてきた瞬間に涙を流してたんです。お父さん役の人が、あの若さで涙を流すというのにびっくりしました。お母さんに気持ちが集中しがちだけど、ちゃんとこういう風に気持ちを作ってお父さんになった瞬間を表現しているというのに、すごく感動しました。真央ちゃんは半年くらい陽子という役をやってきている人なので、ちゃんと周りの人たちの人生と向き合ってきた人が母親になった、という顔をしてました。ただ単に母親になったのではなくて、ちゃんとこの半年間、陽子という人をしっかり体の中にためてきた人の顔をしていたのが印象的でした。
――最後に、これからの見どころを。
陽子の家族、友達とか、最初のころから出ていた人たちがみんなそれぞれの人生を送って、その人生を語りに丸庵にいらっしゃいます。徳子さんはそれを商売をやりながら「みんないらっしゃい、いらっしゃい」って言って迎えるんです。そういう丸庵ってすごくいいですよね。戦争で傷ついた人たちをそっと受け止める女将さんなんです。私は「みんなよく来たね」って言って明るく迎えて明るく送り出すという、そういう役割を最後まで果たしたいと思います。
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