松本清張の「証言」をドラマ化したいと朝原監督と打合せするまでは、まさか男性同士の恋愛話になるとは思ってもいませんでした。
しかし、実は隠れ腐女子であった私は、出来上がった脚本を貪るように読んで、うかれ喜びました。この設定に変更したことで舞台を現代にした必然性がグッと増し、ラストまで見応えのあるものになっていたからです。
その直後、台風19号の影響で各地に被害が出て、金沢へ向かう北陸新幹線も大きな被害をうけました。
そんな混乱の中、谷原章介さんが貞一郎役を快く引き受けて下さり、役作りのために年末年始もご馳走を諦めて節制し、7キロ近く体重をおとされたと聞いています。
「清張もこの脚色を面白がると思うよ」と原作関係者の方が褒めて下さったことも大きな励みとなりました。私のような隠れ腐女子のみなさまも、そうではない方も、楽しんでいただけるドラマとなっています。ぜひご覧ください。
60年以上前に書かれた松本清張氏の短編小説「証言」は何度も映像化され、今回で7度目です。
なぜこの作品が、今なおこれほどに私たちを惹きつけるのか? それは、上質なサスペンスであることはもちろんなのですが、それ以上に清張氏の描く人間ドラマには誰もが身につまされ引き込まれてしまう魔力がある。
普通の人がほんのちょっと道を踏み外したことから、とめどなく転落していく様子が、それはそれはホントに恐ろしいお話なのです。
今回の令和版「証言」では、その人間ドラマに現代日本ならではの磨きをかけました。
崩れかけた夫婦関係から目を逸らす男と女。そして、不倫に燃え上がる男と男。その男と男と女の三角関係がとんでもない悲劇を生み、最後には原作にもなかった今作オリジナルの驚きの結末が訪れます。
息をするのも忘れて、怖~いラブサスペンスをどうぞ。
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