7月~9月の3カ月連続で、歌舞伎公演の模様がWOWOWで放送されることが決定した。7月16日(土)には、5月3日~27日に東京・明治座で「明治座 五月花形歌舞伎」と銘打って上演された演目を2作品連続で放送する。
1作目は、歌舞伎狂言の三大名作の1つという「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」から、「川連法眼館(かわつらほうげんやかた)」。人間に化けた子ギツネが、鼓の皮に姿を変えた親ギツネのそばにいようとすることで、両親を慕う子ギツネの情愛を描く。同作の見どころは、鼓恋しさに正体を現す子ギツネを、早替わり・宙乗りといった歌舞伎のケレン味あふれる演出で表現するところだ。
子ギツネと子ギツネが化けた人間の2役を演じる市川亀治郎は、「僕は子供のころ客席で伯父が演じる子ギツネを指して“あれになるからね”って言ったらしいですよ。キツネになりたかったそうです」というエピソードを明かした。歌舞伎の魅力については、「顔が白い人が演じている!(笑)。いや、初めて見たらびっくりしますよ! 目の周りは赤く塗っていたり、大げさにしゃべったりしていますから」とコメントし、続けて、「演じていること(内容)を分かろうとするよりも、“何を大げさな! ”とか、まずはそういうこと(動きや見た目のおもしろさ)を楽しむのでいいと思います」と歌舞伎初心者へメッセージを寄せた。
2作目は、上方歌舞伎の代表作といわれる「恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)」より「封印切(ふういんきり)」。飛脚問屋の忠兵衛が、恋仲の遊女・梅川を身請けするために金が必要となることをきっかけに、二人が悲恋に追い込まれていく様子を描く。上方歌舞伎ならではのせりふまわしや表情などが同作の見せ場。
梅川役の中村七之助は、役柄について、「かなり好きな役ですね。梅川は忠兵衛とすごく相性がいいんでしょうね」と楽しみながら演じた様子。一方、忠兵衛の恋敵・八右衛門を演じる市川染五郎は、「主人公に魅力があります。ヒーローヒーローしていない人物が主人公になっているのが上方歌舞伎ですよね。欠点がある人間味がある主人公だからこそ、生き生きとした芝居になるのだと思います」と上方歌舞伎の魅力を語る。また、「色彩感覚であったり、音楽であったり、舞台機構であったり、自分が興味を持てる“何かを探しにくる感覚”で見てほしいです」と歌舞伎の楽しみ方をアピールした。
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