名優レオナルド・ディカプリオの“今”…“過去からの脱却”と“進化”を掘り下げる<ザテレビジョンシネマ部>

2020/05/15 07:05 配信

映画

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 (c)2019 Visiona Romantica, Inc. All Rights Reserved.


映画アドバイザー・ミヤザキタケルがおすすめの映画を1本厳選して紹介すると同時に、併せて観るとさらに楽しめる「もう1本」を紹介するシネマ・マリアージュ。

第15回は、警察とマフィア双方に潜入する男たちの駆け引きをスリリングに描き、レオナルド・ディカプリオの新たなる一面を引き出した『ディパーテッド』(5月17日(日)深夜0:00、WOWOWプライムほか)と、ブラッド・ピットとの共演でも話題となった『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(5月15日(金)夜9:00、WOWOWシネマほか)をマリアージュ。

男くさい路線も開拓した『ディパーテッド(2006)』


香港映画『インファナル・アフェア(2002)』のリメイク作にして、「無冠の名監督」と呼ばれていたマーティン・スコセッシに念願のオスカーをもたらした第79回アカデミー賞監督賞受賞作(作品賞・脚色賞・編集賞も受賞)。

警察官ながらも極秘捜査のためマフィアに潜入するビリー(レオナルド・ディカプリオ)と、マフィアながらも情報収集のため警察の特別捜査班に潜入するコリン(マット・デイモン)。立場の違う2人のスパイの運命が複雑に絡み合い緊迫していく様は、あなたの心をつかんで離さない。

『ディパーテッド』 (c) Warner Bros. Entertainment Inc.


今では誰もがその名を知る名俳優レオナルド・ディカプリオ。数々の代表作があることはもちろん、『レヴェナント:蘇えりし者(2015)』で念願のアカデミー賞主演男優賞にも輝き、名実ともに揺るぎない地位を確立させた。だが、そんな彼にも危うい時期があったことをご存知だろうか。

本格的なスクリーン・デビュー作『ボーイズ・ライフ(1993)』を経て、『ギルバート・グレイプ(1993)』では19歳にして第66回アカデミー賞助演男優賞にノミネート。その後、『タイタニック(1997)』で大ブレイクを果たした彼であったが、そこから『ディパーテッド』に至るまでの道程は険しかった。

『ディパーテッド』 (c) Warner Bros. Entertainment Inc.


『タイタニック』以降、アイドル的な人気が過熱し、美青年的な役柄のイメージが付いてしまったことであったり、出演作が“最低”映画を選ぶゴールデン・ラズベリー賞を受賞してしまったり、『タイタニック』以前が良作続きであったことも相まって、かつての神童ぶりは鳴りを潜めることに。

極め付けは『ギャング・オブ・ニューヨーク(2001)』。初のスコセッシ作品への参加であったが、第75回アカデミー賞において主演男優賞にノミネートされたのは、主演のディカプリオではなく、助演であるはずのダニエル・デイ=ルイスであった。

そう、完全にルイスの名演に食われてしまったのである。そうして固定化されてしまったイメージの払拭にあえぎ、過去の栄光から脱却できない期間が長らく続いていた中、ついに変化の時が訪れる。

【写真を見る】男くささと渋さで高評価となった『ディパーテッド』でのレオナルド・ディカプリオ(c) Warner Bros. Entertainment Inc.


今では当たり前に感じられるかもしれないが、美青年イメージを大いに覆し、ハードで男くさい路線もいけるのだということを世界中に知らしめたのが、この『ディパーテッド』。

もしもまだディカプリオに対し、彼が拭い去ろうとしていた美青年イメージしかもっていない人がいるのなら、現在の彼へとつながる過渡期にあるこの作品を必ず目にしていただきたい。そこには“美青年”から“泥くさい男”までをも演じ分けられるようになった彼の魅力と底力が詰まっている。