5月19日(火)夜10時から「逃げるは恥だが役に立つムズキュン!特別編」(TBS系)が放送される“逃げ恥”。新垣結衣・星野源が出演し、2016年の放送時に社会現象と呼べるほどのブームとなった同作が多くの視聴者から“愛された理由”について、フリーライターでドラマ・映画などエンタメ作品に関する記事を多数執筆する木俣冬が解説する。(以下、ネタバレが含まれます)
この3年半、何度も再放送されていて見るたびにほっこりする。「逃げ恥」こと「逃げるは恥だが役に立つ」は近年のヒットドラマの筆頭格である。
第1話の視聴率は10.2%(※以下、視聴率はビデオリサーチ調べ・関東地区)と平凡だったが回を増すごとに注目されていき、最終回(11話)は視聴率20.8%と盛り上がった。なぜ、「逃げ恥」は多くの人たちに愛されるのか。
この数年、「多様性」という言葉が社会ですっかり定着したが、「逃げ恥」は極めて「多様性」を意識した作品で、各々の登場人物の個性や置かれた環境を否定することなく、できる限り穏やかに優しく受け止めて肯定していこうとする気遣いの流れのとば口であったように思う。
主人公・森山みくり(新垣結衣)は大学院まで出ながら就職難で派遣社員としてその能力を持て余していたところ、派遣切りに遭う。まずこれがとても現代的な設定である。
だが、みくりは家事代行サービスという新たな仕事につく。雇用者である津崎平匡(ひらまさ/星野源)は、優秀なシステムエンジニアで、独身生活を謳歌しているように見えて、36歳にして性体験がなく、それを「プロの独身」と言い換えて自分を肯定している。これまた極めて現代的な設定だった。
働く場所のない人物と、結婚適齢期というような世の中の勝手なルールに当てはまらない人物、現代に多く存在する人たちの代表のようなみくりと平匡。やがてふたりは、「家事をやってもらうこと」と「対価を得る」というお互いのメリットのため合理的な「契約結婚」をする。それによって能力を最大限に生かし対価を得ることと、結婚しているという世間体を得ることができた。
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