BS12 トゥエルビでは、2020年4月に82歳で亡くなった映画監督・大林宣彦が手掛けた映画「さびしんぼう」を、6月20日(土)夜7:00より放送する。
本作は、大林監督が「転校生」(1982年)「時をかける少女」(1983年)に続いて故郷の広島・尾道を舞台に制作した、いわゆる“尾道三部作”の最終作。男子高校生・ヒロキ(尾美としのり)の恋をノスタルジックに描いており、大林監督の自伝的な要素も強い作品と言われている。
初恋の切なさや両親への反発と和解など、思春期の揺れ動く感情を鮮やかに描いたファンタジー作品で、黒澤明や映画評論家・双葉十三郎ら数々の映画人から絶賛された。
尾道三部作すべてに出演する尾美が本作で演じたのは、寺の一人息子・ヒロキ役。住職の父・道了(小林稔侍)や母・タツ子(藤田弓子)「をロマンも何もない大人」と思って軽蔑していたが、次第に両親の生き方や深い愛情を知り、少年から大人に成長していく過程を好演している。
一方、公開当時16歳だった富田靖子は、清楚という言葉がぴったりなヒロイン・橘百合子と、道化服の不思議な少女「さびしんぼう」を演じ、この映画を忘れられないものにした。「転校生」の小林聡美、「時をかける少女」の原田知世同様、富田の魅力を最大限に引き出した大林監督の手腕が光る。
「恋をするとは寂しさを知ることだ」と語る大林監督の優しさが素直に伝わってくる本作。全編にわたって流れるショパンの「別れの曲」に、これまでとはまた違った感情を抱くはずだ。大林監督の遺した珠玉の名作に今一度触れてみよう。
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