Creepy Nuts、なぜバラエティーでも活躍? 『ANN0』で培われた“喋り”から紐解く

2020/05/23 06:15 配信

芸能一般 コラム

Creepy Nuts(左からDJ 松永、R-指定)撮影=神保達也


音楽シーンを飛び越えた、Creepy Nutsの躍進


Creepy Nutsの“喋り”が、面白い。Creepy Nutsとは、MCバトル(「UMB GRAND CHAMPIONSHIP」)日本3連覇のラッパー・R-指定とDJバトル(「DMC World DJ Championships」)世界一のターンテーブリスト・DJ松永によるHIP-HOPユニット。

R-指定が、独自の切り口と巧みな表現力で踏む韻は、妙に心に残る。即興ラップのクオリティーの高さもまた圧巻だ。一方、DJ松永は、緻密で大胆な指さばきをはじめとした圧倒的なDJテクニックと、遊び心あるパフォーマンスが魅力的。そんな業界屈指のスキルを持つ2人が生み出す音楽は、聞きやすいのにどこか引っかかり、癖になる。HIP-HOP界隈のみならず、多くの音楽リスナーから中毒者を輩出中だ。

アーティストである彼らが、バラエティー番組によく顔を出すようになったのは、2019年のこと。それ以前も、もちろんテレビ出演はしていたが、そのほとんどは音楽番組だったように思う。だが、同年4月放送の「金曜日のどっち!?」(テレビ朝日系)を皮切りに、「ゴッドタン」(テレビ東京系)、「タモリ倶楽部」(テレビ朝日系)、「ダウンタウンDX」(日本テレビ系)…と次々に人気バラエティー番組に出演。

中でも、「ゴッドタン」は、ラジオファンの間でちょっとした賑わいを見せた。テレビ東京のプロデューサー・佐久間宣行氏とCreepy Nutsがラジオ番組をまたいで行った、“雇用握る/握らせない”プロレスの着地点となったからだ(もちろん勝者は雇用を握った佐久間氏)。ちなみにCreepy Nutsは同番組のトーク企画「芸人ラジオサミット」に参加し、共演者であるハライチやアルコ&ピースら芸人たちの中で、しっかりと爪痕を残していた。

DJ松永のバラエティー力に注目!


ここ1年でCreepy Nutsの2人は、テレビ/ラジオ関係なくバラエティー番組にて、着実に頭角を現している。中でも、DJ松永の活躍は目覚ましい。たとえば、今年だけでも「有吉ゼミ」(日本テレビ系)や「「任意同行」願えますか?」(日本テレビ系)、「ニノさん」(日本テレビ系)、「おぎやはぎのハピキャン」(メ~テレ)、「ライムスター宇多丸の水曜The NIGHT」(ABEMA)などのバラエティー番組に単独で出演している。

では、DJ松永はいま、なぜバラエティー業界に必要とされているのだろうか?それは、彼の“喋り”にあるように思う。DJ松永は、極度の潔癖症(本人は否定しているが)で妙なこだわりを持つ、偏屈者。そしてCreepy Nuts「たりないふたり」の歌詞にもあるように、デリカシーがない。だが、この性格がなんとも愛らしいのだ。

ほかの演者の見せ場など黙るところでは黙り、これでもかと存在感を消す。だが、ここぞというときにマシンガントークを炸裂。一度ギアが入ると止まらず、松永節でどこまでも駆け抜けていく。少し捻くれたコメントもまた新鮮で面白い。芸人同士だと、どうしてもお決まりのパターンになってしまったり、上下関係からか羽ばたききれなかったりする演者も少なくない。だが、そんな中でアーティストであるDJ松永は、共演者の芸人やタレント、大物MCらにも物怖じせずに攻めていける。言わば、バラエティー番組において“スパイス”的な役割を果たしているのだ。