“ダークヒーロー”窪田正孝、“生身の演技”と“落差”で見る者を魅了する<ザテレビジョンシネマ部>

2020/05/26 07:00 配信

映画

『Diner―』では激しくも悲しみの深いキャラで魅了


直近作では、蜷川実花監督作『Diner ダイナー(2019)』(6月12日(金)夜7:00、WOWOWシネマほか)で演じた殺し屋も、物語の中で変貌する窪田の得意技を存分に拝める役どころだ。殺し屋ばかりが集まるダイナーで働き始めたウエートレスが、壮絶な体験をしていくスタイリッシュ・アクション。

キレた人物ばかりが登場する本作で、窪田は全身傷だらけの孤独感を漂わせた殺し屋、スキンを熱演。母がつくったスフレを愛し、好戦的とは程遠い優しげな人物だが、ある出来事がトリガーとなり「壊れる」という、激しくも悲しみの深いキャラクターで魅せる。声色や話し方のテンポ、トーンに至るまで、『東京喰種 トーキョーグール』とは全く別物。彼の身体表現の神髄を、思い知らされるだろう。

『東京喰種 トーキョーグール【S】』(C)2019 「東京喰種【S】」製作委員会


彼の出演作を観るたびに、「窪田正孝は何人いるのか?」と本気で思わずにはいられないほど、「化ける」役者。この憑依型俳優は、常に自身の限界を更新し続けている。

文=SYO



東京学芸大学卒業後、編集者を経て映画ライターに。CINEMORE、FRIDAYデジタル、映画.com、DVD&動画配信でーたなどに寄稿。Twitter(@SyoCinema)フォロワーは2万人超。