本作の大ファンであることを公言しており、「カルネ」(1991年)や「CLIMAX クライマックス」(2018年)など、自身の作品で本作へのオマージュを捧げているノエ監督から、これまでの映画製作において強烈な影響を受けたという本作の魅力と、これから劇場で鑑賞する日本人へ向けたメッセージ動画が到着。
自身の作品でないにもかかわらずここまで語り、日本初公開のためだけにメッセージを寄せるという異例の動画となる。
フランスでも上映が禁止され、後に発売されたVHSも極わずかしか出回っていない中、「今までに60回は見た」と驚きの発言。当時からこの作品に打ちのめされた一人だ。
さらに、世界各国で上映が禁止されたことにより、「この映画は見た人がほとんどいない、全く無名の作品であることもこの映画の魅力だ」と語り、「常に素晴らしい作品が影を潜めていて、再評価されるべきものがある。」と本作が再び日の目を浴びることに、喜びと期待をあらわにしている。
ちなみにノエ監督が過去に人生ベスト5にピックアップした映画は、「アルゴ探検隊の大冒険」(1963年)、「2001年宇宙の旅」(1968年)、「イレイザーヘッド」(1977年)、「ソドムの市」(1975年)、そして「アングスト/不安」だ。
また、ノエ監督は注目すべきシーンとして、斬新なカメラワークを挙げ、「見事なテクニックと映像の捉え方は絶対に見てほしいところだ。映画史上最も重要なカメラワークと言えるだろう」と撮影を担当した世界的な映像作家ズビグニェフ・リプチンスキの撮影技術を絶賛。
アカデミー賞最優秀短編アニメ賞を受賞した「タンゴ」(1981年)やジョン・レノン、ミック・ジャガーのMVで知られる彼の独特なカメラ表現は、ノエ監督の他「ブラック・スワン」(2010年)のダーレン・アロノフスキー監督にも影響を与えるなど、スリラー映画におけるカメラワークの根幹を築いたともいえる。
ドローン撮影などない時代に、一体どこから撮影したのかと思うほどの高度なショットや俳優の体にカメラを取り付ける撮影手法は、主人公の感じる不安や焦燥を見る者にも感じさせ、そのリアルな表現と芸術性の高さに世界中の映画監督らを虜にした。
公開から37年たった現在でも、世界で再上映された例は少なく、今回の日本劇場公開はかなりレア。すでに配給会社にクレームが入るなど、とにかく残虐な殺人鬼映画では?と噂される本作であるが、これから劇場で鑑賞する日本人へ、ノエは「暴力行為を目の当たりにする一方で、加害者(=主人公)からの被害を耳にする。とても複雑で魅力的な映画だ」と単なる殺人鬼映画ではないことを主張した。
また、日本独自のチラシのデザインについて「素晴らしい!」と絶賛、「ついにこの映画史上に残るマスターピースが日本で公開されることを知りとてもうれしく思う」と語っている。
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