若手随一の演技力を誇る清原は、2014年、12歳のとき、アミューズオーディションフェス2014でグランプリを受賞、「あさが来た」が俳優デビュー作だった。
たいていの新人俳優は、恋や友情を謳歌する等身大の現代っ子を演じるところから演技に慣れていくものだが、清原の場合、現実から飛距離のある、修羅の道を歩むような役がハマる。
大河ファンタジー「精霊の守り人」シリーズ(2016〜2018年、NHK総合)では主人公バルサ(綾瀬はるか)の少女時代を、天涯孤独の用心棒として生きるハードボイルド感を漂わせて演じきった。アクションにも切れ味があった。
「蛍草 菜々の剣」(2019年、NHK BSプレミアム)では、本格時代劇に主演。父の仇をとろうとする武士の娘を演じた。「マンゴーの樹の下で〜ルソン島、戦火の約束〜」(2019年、NHK総合)では、岸恵子演じる主人公の若き時代、ルソンでの体験を心に刻む重要なパートを演じた。
どの作品を見ても、凛として地に足のついた役をよくぞこんなにも説得力をもって演じられることかと舌を巻くばかり。多くの賞を受賞した「透明なゆりかご」(2018年、NHK総合※脚本は「おかえりモネ」の安達奈緒子)では、新人看護師役で連ドラ初主演。
様々な事情をもって産婦人科を訪れる人たちの生と死を見つめるその真摯な視線が、多くの視聴者の心に深い感慨をもたらした。
ときに若い眉間にシワが刻まれることも辞さない真剣な表情は、真剣に世界を見つめ考える、役の姿そのもの。京王電鉄のCM「雨に濡れても」篇で、雨のなかギターの弾き語りをしながら、「私の頭に雨がふる」「やまない雨はない」と語る声には、辛さから目をそらさない上での希望がある。
映画「3月のライオン」(2017年)では、主人公(神木隆之介)の憩いの場である家の次女役で、天真爛漫な高校生だったが、あるきっかけから学校で虐めに遭ってしまう。ひたむきに耐えるその姿は迫真だった。
こんなふうにシリアスな作品が似合うと思いきや、その一方で、コメディ「俺の話は長い」(2019年、日本テレビ系)では主人公(生田斗真)の妹役で軽妙な会話劇を演じた。
青春映画「ちはやふるー結びー」(2018年)では主人公(これまた広瀬すずが主演)をライバル視する勝ち気な女子高生をはつらつと演じていた。
いい意味で器用。なんでも確実に演じることができて彼女が出ていると安心する。主役をやればしっかり中心に立ち、脇役のときは、主役を食いそうなまでに肉薄するが、ある一線でうまく引いて主役を立たせる。
十代なのにどうしてそこまでの処世術を学んだ?と思ってしまうほどだが、処世術とかではなくて、脚本と演出をしっかり理解して、余計な自意識を入れることなく役に邁進しているのであろう。
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