新型コロナウイルスの感染拡大の影響により公開を延期していた大林宣彦監督作品「海辺の映画館−キネマの玉手箱」の新たな公開日が7月31日(金)に決定。また、大林監督の“最期のメッセージ”が込められた劇場パンフレットも完成した。
1938年、広島県尾道市で生まれ、3歳のときに映画をつくり始めた大林監督。テレビCMの監督を経て、1977年に「HOUSE / ハウス」で商業映画進出を果たし、故郷の尾道を舞台にした「転校生」(1982年)、「時をかける少女」(1983年)、「さびしんぼう」(1985年)の“尾道三部作”をはじめ、数多くの作品を世に送り出してきた。
「海辺の映画館−キネマの玉手箱」は、そんな大林監督の44作目の劇場公開作品として製作された作品だが、奇しくも、本作が当初公開される予定だった2020年4月10日、大林監督は82年の生涯に幕を閉じた。
しかし、本作のプロデューサーを務める妻の大林恭子によれば「大林宣彦監督は天国で次回作のロケハン中」とのこと。つまり、「海辺の映画館−キネマの玉手箱」は、大林宣彦の遺作ならぬ“最新作”なのである。
物語の舞台は、尾道にある海辺の映画館。そこで映画を観ていた3人の若者が、戦争の歴史をたどりながら、無声映画、トーキー、アクション、ミュージカルと、さまざまな映画表現を体感していく。
20年ぶりに尾道で撮影が行われたことからもわかる通り、大林監督が少年時代から培ってきた“映画愛”が凝縮された「大林版ニュー・シネマ・パラダイス」ともいうべき本作は、誰もが楽しめる娯楽映画でありながら、根底に流れているのは痛烈な「反戦」のメッセージ。戦後75年を迎えて新たな変革を求められている2020年の日本に対し、「“戦争”に打ち勝てるのは“映画”である」と力強く訴えていく。
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