――ヌネスは今でこそ無敵の状態ですが、キャリア前半ではけっこう負けていました。
高阪:まだ遠い間合いでの戦い方を見つけていなかった頃は、組み技の攻防に付き合いすぎたがために体力が削られてしまい、肝心の打撃の威力が落ちてしまった。そんなことが起こっていましたね。
――UFC3戦目のキャット・ジンガーノ戦(2014年9月)で、グラウンドでのパウンドでTKO負けした際は、まさにそんな感じでした。
高阪:そういう経験も踏まえて、ヌネスも決してグラウンドが苦手なわけではないんですが、『自分の最大の強みである打撃を活かすためには、あまり寝技をやりすぎるのはよくないんだな』と気づいていったんでしょう。
――UFC参戦前、インヴィクタFCやストライクフォースで敗れたのも、シーザー・グレイシー柔術アカデミー所属のグラップラー(アレクシス・デイビス、サラ・ダレリオ)でした。
高阪:当時はスタンドでの距離がもっと近かったので、相手からするとタックルが取りやすい距離でもあった。でも、当時のヌネスは、その近い距離が自分にとってもいい距離だと思い込んでいたと思うんです。
——強打も入れられるし、自分からテイクダウンにもいけるという。
高阪:でも、何度か敗れた後、『自分のストロングポイントはどこなのか』をしっかりと見極める作業を怠らなかったことが、今のヌネスの状態を作ったんじゃないかと思います。
――そして今回の対戦相手のスペンサーは、 身体の大きいグラップラーという、 かつてヌネスが苦手としたタイプの選手です。
高阪:だから、これは見ものですよね。スペンサーは寝技に自信を持っているだろうし、実際に強いですから。また、組むことに躊躇がないんですよね。
組んで倒すというのは体力を使うので、一度組んでうまくいかなかったりすると、『今度切られたら、体力的に削られてしまうんじゃないか』という考えが頭をよぎるもの。
でも、スペンサーは躊躇なく再度ケージに押し込んでテイクダウンを狙っていったりしますから。それを2回、3回続けるというのは、よほどそこに自信があるんでしょう。
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