福岡発の特撮番組「ドゲンジャーズ」が盛り上がっているワケ 6月28日に最終回&一挙放送!

2020/06/28 08:20 配信

アニメ コラム

実在するヒーローたちの親しみやすさ


【写真を見る】スーツ姿がカッコいい…!キタキュウマンら、個性的なローカルヒーローたちの全身画像※提供写真


4月12日よりKBC(九州朝日放送)でスタートした本作は、福岡では毎週日曜朝10:00から放送。日曜朝といえば、仮面ライダー、スーパー戦隊シリーズが放送される、いわゆる“ニチアサタイム”と呼ばれる時間帯だが、「ドゲンジャーズ」それらに続き放送されている。

そこに登場するのはほとんどが実在するヒーローたち。もともと地元で活躍しているご当地ヒーローの「吹王火剣(ふくおかけん)フクオカリバー」「キタキュウマン」、企業・団体が誇るヒーロー「天元の勇者エルブレイブ」「営業部ヒーロー課ヤマシロン」「薬剤戦師オーガマン」「ヤバイ仮面」、そして番組から生まれた「ルーキー」(正木郁演じる田中次郎が変身したヒーロー)…が集結した作品なのだ。

「吹王火剣フクオカリバー」は、福岡県内でヒーローショーを行っており、二刀流を得意とする正統派ヒーロー。目の形がフクオカの「F」、めんたいこ型の鎧、マントは博多織などの特徴も。「キタキュウマン」は、福岡県北九州市のPR活動を行っているご当地ヒーローだが、体が硬いことなどを理由に戦闘に参加したがらないというキャラクター。SNSでの飯テロも話題に。

「天元の勇者エルブレイブ」は、東京のプロレス団体・BRAVES所属のプロレスラーであり、福岡県中間市を拠点にしているヒーローだ。有限会社八幡建設の職人たちと働く肉体派で熱血タイプ。「営業部ヒーロー課ヤマシロン」は、山代ガス株式会社営業部ヒーロー課所属の3人、レッドロン、アオイロン、ダイダイロンが合体稟議を申請し、稟議が通過して合体した姿だという。佐賀県の会社だが福岡県にも営業所があることから本作へ参加。

「薬剤戦師オーガマン」は、白衣がモチーフのスーツに身を包み、子どもたちに『薬育』を普及するために降臨、ショーの終わりには服薬を管理するための『やくいく手帳』を配布するという、株式会社大賀薬局のヒーロー。パンチ力200t、キック力400tと圧倒的なパワーを持つ彼には、「薬飲んで、寝ろ」という決めぜりふがあるが、Twitterでちょっとした一言だったりQ&A方式で答える形だったりで「〇〇して、寝ろ」や大喜利にも思える言葉が書かれた画像をツイートし、度々バズるなどSNSでのパワーも強い。

さらに悪役の「ヤバイ仮面」は福岡県に実在する、ヒーローショーに特化したイベント会社・株式会社悪の秘密結社の代表取締役社長。

番組開始前から存在しており、Twitterアカウントも持っている彼らは、それぞれの個性を存分に発揮。そんな彼らの親しみやすさもあり、番組は爆発的なスタートダッシュを見せた。

初回平均視聴率3.9%、Twitterトレンド入りで人気を実証


番組平均世帯視聴率(北部九州)は、第1話で3.9%を記録し、第11話までの平均は2.7%。一見高くないように見えるが、近年の仮面ライダーやスーパー戦隊シリーズも平均ではほぼ3%台ということから考えると、遜色ない数字を記録した。そして放送を見た地元の子供や特撮ファンだけでなく、ネット配信を見た全国の大人にも人気が広がっていった。

4月にはアニメ雑誌「アニメージュ」の表紙も飾り、6月20日にはテーマ曲のCD「なんしよーと?ドゲンジャーズ!」「その名はルーキー!」が発売、初公式本として児童向けのキャラクター図鑑「ドゲンジャーズずかん」が7月18日(土)に発売することも決定しているなど、展開は続く。

特撮番組「ドゲンジャーズ」初の公式本『ドゲンジャーズずかん』


6月28日の最終回放送終了後には、Twitter全国トレンド1位を達成、さらにシーズン2の製作が決定していることも発表された。そんな中、「悪の秘密結社」の社長として原作・製作・悪役を担っているヤバイ仮面が「ヒーローボコボコにし過ぎてまずは弁償して…そこから2期の製作費を積み立てます…」とツイートし、『(株)悪の秘密結社によるドゲンジャーズヒーロースーツ弁償プロジェクト』を公開すると、開始早々に目標金額の500万円を達成。7月23日時点で2800万円を超えるなど、まだまだファンの熱は冷めないようだ。

Twitterでは「ドゲンジャーズ」が毎週全国トレンド入りするほどの人気ぶりで、作品の知名度も放送を追うごとに全国へ広がっていった本作。

愛すべきキャラクターたちはもちろん、福岡のローカルネタや、時に映画・アニメ・リアリティー番組などのオマージュとも思える言葉や構成、大人が気になる「稟議」「決算書」「ベンチャー企業」などの会社ネタ、ご当地アイドルとのコラボ、ついツッコミたくなるコミカルなストーリー展開やせりふが散りばめられており、ニコニコ生放送やTwitterで盛り上がりやすいという特徴も当然ある。

しかし作品を見れば分かるが、映像としてのクオリティーもかなり高い。それは制作陣の顔ぶれを見れば納得だ。