――大泉洋さんとの会話劇について、タイミングの合わせ方などはどのようにしていましたか?
それぞれ都内にあるハウススタジオでしたが、その距離は16km離れておりました。会話は、実際に電話をかけ、受話器から相手の声が聴こえる状態。
しかも、部屋には本人以外入らなかったので、完全なる一人暮らしの長電話でした。ワンカットという集中力が必要とされる状況でリラックスしてお芝居が出来たのは、それによるところも大きかったです。
さらに監督は、何度もリハーサルをする中で役者の芝居を新鮮に保つため、どっちかの音声をオフにし、「内緒の演出」をして、相手の新鮮なリアクションを引き出すこともありました。
タイミング合わせについて、例えば3話冒頭の「同時マスト」のくだりは、演出パソコンからキューをもらいタイミングを合わせたものです。
ところが、二人が偶然にも同じタイミングで同じ動きをするという奇跡の瞬間が幾つかあったことは、オンエアを見て知りました。「偶然に意味はない」とはユキコの言葉ですが、こればかりは、エンタメの神さまが味方してくれたとしか思えない偶然でした。
――本作が大好評となったことについてはいかがですか?
いい意味でとてもシンプル。だからこそ、作品の良質が際立つと思いました。過度な編集や音楽を使わず、純粋に芝居だけで見せる。俳優にとっては怖くもあり、挑戦し甲斐のある作品だろうと思います。
その証拠に、多くの俳優仲間から続々と感想メールが届きましたし、その多くは「どうやって撮ってるの?」という質問でした。
その真意は、二人が自然すぎて芝居に見えない、タイミングも驚くほど合っているし、一体どんな演出でどんな撮影方法なのか、ということでした。
また、その後の二人が見たいという意見も多く、それには私も賛成です。もう一度ユキコとモトオに、今度はちゃんと顔を見て会いたいなあと思います。
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