「ハケン―」「―なでしこ」GP帯に異例の2作OA 脚本家・中園ミホ“女性の本音”書き出すヒットメーカー

2020/07/01 06:55 配信

ドラマ

“自らの力”で道ひらくヒロイン


「ハケンの品格」  (C)NTV


中園ミホの描くヒロインは凛として明るく、うじうじした被害者意識を決して出さない。スキルを磨き己の力で生きる糧を得ていく。

第6シーズンまで放送されている長寿作「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」(テレビ朝日系※第1シーズンは2012年)では「私、失敗しないので」が決めセリフのフリーランスの天才外科医・大門未知子(米倉涼子)が主人公。

「ハケン〜」の大前春子の外科医版といった趣で、病院で地位と名誉を守りたいだけの人々の鼻を医療スキルのみで明かし、高額なギャラを獲得する。

いつだって痛快な中園ドラマ。会社の年下男子との恋を描いた「anego(アネゴ)」(2005年、日本テレビ系)も働く女性が主体的に生きる姿を描いていた。2010年代に好まれた女性主人公のお仕事ドラマの基本が中園ミホにあるように思う。

正社員と非正規社員の差も、男女差も、年齢差もそれまでのその差にあきらめていた人たちにあきらめなくていいと手を差し伸べてくれるのが中園ミホドラマなのである。

だからこそ中園が朝ドラ「花子とアン」(2014年、NHK総合)を書くことは必然だったと思う。

なぜなら、朝ドラはまさに女性のためのドラマで、女性の地位が明らかに男性より低かった戦前戦後の日本を舞台にしたものが多く、そのなかで主人公が自分の意思で恋したり働いたりしていくからだ。

「花子とアン」は主人公・花子(吉高由里子)が「赤毛のアン」を翻訳する翻訳家として自立していく話を軸に、親友・蓮子(仲間由紀恵)は家を守るために結婚した相手と別れ好きな人を選ぶ。ふたりの生き方はどちらも輝いていた。

「曲がり角をまがったさきになにがあるのかは、わからないの。 でも、きっといちばんよいものにちがいないと思うの」と「赤毛のアン」から引用したセリフが花子たちの人生のみならず、見ている視聴者を支えた。

大河ドラマ「西郷どん」(2018年、NHK総合)は珍しく女性が主役ではなかったが、幕末の時代を改革していく西郷隆盛と仲間たちの青春群像は清々しく、西郷の島の妻・愛加那(二階堂ふみ)の愛の形も胸を打った。

中園ミホのドラマは、女性を中心に、たくさんの今を生きている人たちに自ら道を切り開く勇気をくれる。

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